SKテレコムが「未来の収益源」と考えていたAI半導体事業の韓米法人設立を終え、グローバルAI半導体市場攻略を本格化する。SKテレコムに携わっていたAI半導体の主要人材も「移籍」を終えた。韓国メディア「マネートゥデイ」が報じた。(写真:AI半導体=SKテレコム)
4日、業界によると、SKテレコムはAI半導体事業を担当する米国法人「サピオン(SAPEON)Inc.」と韓国法人「サピオンコリア」の設立を最近完了したという。また、SKテレコムでAI半導体事業を担当していた50人余りのAIアクセラレーター組織のメンバーたちがサピオンコリアに移動し、今月から正式勤務を始めた。
これに先立ち、SKテレコムは今年1月に米国で開催された世界最大のIT・家電展示会「CES2022」で、SKスクエア、SKハイニックスとともに「SK ICT連合」を結成し、3社間協力の初結果としてSKテレコムが独自開発したAI半導体サピオンの別法人設立とグローバル市場進出を公言していた。
それに向け、3社は計800億ウォンを投資し、米シリコンバレーにサピオンInc.を設立した。各社の持分率は、SKテレコム62.5%、SKハイニックス25%、SKスクエア12.5%ほどと見られる。また、韓国とアジア地域のAI半導体事業のため、子会社のサピオンコリアを韓国に設立した。
米国に拠点を置くビッグテック企業を顧客企業として確保するため、米国に本社を置き、研究・開発(R&D)などを担当する韓国子会社を抱える形だ。SKテレコムでAI半導体開発を主導してきたリュ・スジョンAIアクセラレーター担当が韓米法人代表を兼職する。
SKテレコムが2020年に韓国で初めて開発したAI半導体「サピオンX220」は既存の類似スペックのGPU(グラフィック処理装置)に比べ、演算速度が1.5倍速く、電力使用量は80%水準で価格は50%にすぎない。来年は、推論に最適化されているX220に、リアルタイム学習機能まで加えた後続モデル「X330」を発売する予定だ。
サピオンはまたAI半導体チップベースのハードウェアからAIアルゴリズム、API(応用プログラムインターフェース)などのソフトウェアまでAIサービス提供に必要な統合ソリューションを提供する「AIaaS(AI as a Service、サービス型AI)」戦略を通じ、グローバル市場攻略に乗り出す計画だ。
SKテレコム関係者は「現在、グローバルAI半導体市場進出のために多様な事業案を検討中」とし「今後、具体的な事業ビジョンと計画を市場と疎通していく」と述べた。
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