日本の電子メーカーであるシャープに勤めたのち、サムスン電子に転職したエンジニアが、両社の違いとサムスンが優秀にならざるを得ない理由を説明した記事が話題だ。韓国メディア「アジア経済」が報じた。(写真:サムスン電子イメージ=聯合ニュース)
原文リンク:https://view.asiae.co.kr/article/2022060418041524648
竹内薫さん寄稿記事(日本経済新聞)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC181MO0Y2A510C2000000/
シャープを退職した後、サムスン電子のLCD事業部(現サムスンディスプレイ)に入社した竹内薫さんは今月2日、日本経済新聞に自身の経験を盛り込んだコラムを投稿した。
同氏はサムスンがシャープを追い抜かざるを得なかった理由として、厳格なセキュリティ、技術流出防止策、ライバル会社の動向把握、成果主義と職員福祉などを挙げた。
同氏は「シャープは大規模赤字を経験する反面、サムスンの業績は非常に良かった」とし「技術者として両社の差が何なのか気になった。サムスンがなぜ強いのか直接見て聞きたかった」と転職の背景を説明した。
同氏が一番先に言及したのは「厳格なセキュリティ」だ。
サムスン電子内の首席エンジニアだった同氏は、日本国内の部長級待遇を受けたという。社内でかなり高い位置だったにもかかわらず、彼はパソコンを社外に持ち出すことができないという事実に驚いた。
更には社内で使用する紙にも金属片が入っており、コピー機が金属を感知できない場合にはコピーもできなかった。書類を外部に流出しようとすると、出入口のセンサーが金属を認知して警報器が鳴ったという。
それだけでなく、職員の携帯電話には専用アプリを設置してカメラが作動できないようにし、書類を放置する場合、警告を受けることになった。薫さんは「シャープで勤務する時は書類を積んでおいたまま帰宅した」と付け加えた。
同氏はサムスンがライバル会社の動向を調べる姿も競争力のある要因に挙げた。サムスンはLGや台湾のイノラックス、AUOなどをライバル会社の分析リストに含めたが、そのうち日本企業は1社もなかった。
同氏は「シャープの幹部はシャープのパネルが世界最高の競争力を持ったと言ったが、これは完全な妄想だった」と言及した。
同氏はサムスンが強い2番目に原価競争力を挙げた。
LCD(液晶表示装置)を真っ先に開発したメーカーはシャープだが、2000年代に入ってからその主導権をサムスンに奪われることになる。
両社の製品の調達費には大きな差がなかったが、材料費などの変動費の場合、シャープが10ドル(約1309円)ほど高かった。さらにシャープの人件費と設備など固定費用はサムスンの2倍に達した。結局、サムスンはシャープ製品生産価格の60~80%水準でパネルを生産することができたのだ。
同氏はサムスンの「製品研究に対する情熱」をほめた。
同氏は「サムスンは研究開発だけで2000人に近い人材を投入する」とし「今後1~2年後まで見通したのだ」と説明した。続いて「LCDだけでなく、その次の段階である有機発光ダイオード(OLED)の開発にも先に着手した。各部門の要素技術を一つにまとめた商品やサービスを構想する部門間融合とそのためのアイデアの集まりも活発だった」と伝えた。
サムスンの成功の最後の理由としては、社内成果主義文化と高い水準の職員福祉を挙げた。
サムスンは絶対的な成果主義で役員を待遇したが、車両が支援されたことに加え年俸は3000万~4000万円(約2億8900万~3億8500万ウォン)に達した。
さらに、成果別インセンティブは別途提供された。そのため、職員らが必死に働くしかないという。
また「日本の場合、職員が退職すれば他社に技術が流出する場合が日常茶飯事だが、サムスンはこれを防ぐために役員が退職する場合、2年間所得を保障する」とし、「技術者に対するサムスンの処遇は日本企業と雲泥の差」とも説明した。
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