20年間、韓国労働者の平均賃金上昇率が主要5ヶ国(G5、米国・英国・フランス・ドイツ・日本)より2.6倍高かったことが分かった。それだけ労働費用が多く増加したということで、物価上昇圧迫要因として作用するのではないかという指摘が出ている。韓国メディア「ブリッジ経済」が報じた。(写真:iStock)
原文記事:https://www.viva100.com/main/view.php?key=20220626010005898
全国経済人連合会傘下の韓国経済研究院は先月26日、韓国とG5の労働費用増加推移を比較した報告書を公開した。これによると、韓国の賃金労働者1人当たりの年間平均給与は、2000年の2万9238ドル(約3790万ウォン、約395万円)から2020年の4万1960ドル(約5438万ウォン、約567万円)へと43.5%上昇した。同期間、G5は4万3661ドル(約5659万ウォン、約590万円)から5万876ドル(約6594万ウォン、約687万円)へと16.5%増加した。G5と比べて韓国の1人当たり年間平均給与上昇率が2.6倍以上高かったのだ。1人当たりの年間平均給与は購買力評価(PPP)に基づいて算出された。
その上、韓国は経済協力開発機構(OECD)38加盟国の中で人口3000万人以上の11ヶ国の中で2番目に賃金上昇率が高かった。韓国経済研究院は「韓国の労働費用が急激に増加しているが、労働生産性増加速度はこれに追いついていない」とし、「労働費用増加は企業に大きな負担として作用する」と指摘した。
韓国経済研究院によれば、国内労働関連指数が集計され始めた2004年から2019年までの15年間の統計を分析した結果、韓国製造業勤労者の1人当り労働費用は88.2%増えたが労働生産性は73.6%増加に止まった。労働費用増加率と労働生産性上昇率の間で14.6%ポイントも差が出たのだ。反面、G5は同期間の平均労働費用増加率と労働生産性指数上昇率がそれぞれ36.1%、30.8%で差は5.3%に過ぎなかった。これに加えて最近5年間(2016~2021年)の韓国の最低賃金が44.6%増え、G5平均(11.1%)の4倍を上回るなど労働費用はますます増加している。
これは韓国経済研究院が2011~2021年の売上と営業利益、給与資料が全てある国内上場会社1369社を対象に分析した資料でもそのまま現れる。過去10年間の人件費増加率が54.5%で、売上増加率(17.7%)より3.1倍高かった。人件費の増加は職員が増えた影響もあるが、賃金上昇がさらに大きな影響を及ぼしたというのが韓国経済研究院の分析だ。実際、職員数は2011年119万6000から2021年125万2000人へと4.7%増に止まった。韓国経済研究院のキム・ヨンチュン雇用政策チーム長は「成果、生産性などに連動していない賃金引き上げは人材運用の自律性を制限する」とし、「最近の物価上昇圧迫をさらに大きくすることができる」と述べた。
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