硬直した上半期の世界スマートフォン市場、下半期に競争激化の見込み

今年上半期のグローバルインフレと景気低迷の影響でスマートフォン市場に大きな波紋が広がり、業界の下半期の反騰戦略に関心が集まっている。韓国メディア「enewstoday」が報じた。(写真:アップルとサムスン=聯合ニュース)
原文記事:http://www.enewstoday.co.kr/news/articleView.html?idxno=1584085

反転を狙うサムスンとアップルのプレミアム新製品が出撃準備を終えた中で、主力製品出荷量と戦略的なグローバルマーケティングが勝負所になるものと予測される。

17日業界によると、最近「グローバルリセッション(世界的景気低迷)」前兆現象で萎縮した消費心理により世界スマートフォン販売量が1億台以下に減少し、下半期市場が硬直する可能性が予想されている。

すでに上半期にスマートフォン市場は硬直した様子を見せている。

市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、今年5月のグローバルスマートフォン市場販売量は前月比4%減の9600万台で、前年同期比10%減少した。

最近10年間、販売量が1億台以下に落ちたのは2020年、COVID-19パンデミック初期当時の販売量が急減して以来2回目だ。

今回の市場萎縮は前代未聞のCOVID-19パンデミック対応間に触発されたインフレ・半導体部品難と共に、ウクライナ戦争など国際情勢が複合的に作用したものと分析される。

下半期の市場に対しては肯定論と否定論で意見が分かれている。

肯定側は、中国市場の封鎖解除と全般的な経済回復で、下半期のスマートフォン市場が安定化するだろうという意見だ。

市場調査会社のカウンターポイントリサーチは中国市場が正常化しサプライチェーン・マクロ経済が回復し下半期スマートフォン販売量が漸進的に回復すると見通した。

最近、世界最大のスマートフォン市場である中国が最近封鎖を解除し、景気浮揚政策を拡大するものと予想され、このような肯定論に力を入れた。

これに対抗する否定側は、世界的な景気減速の溝が深く、今年までは回復と成長が難しいだろうと反論する。

市場調査会社のガートナーは今年スマートフォン出荷量を前年対比7.1%減少した14億5600万台と見通した。この他にも有数の市場調査会社各社が3~7%ほど減少するだろうという予測を出し否定論に力を加えた。下半期にもスマートフォン輸出鈍化傾向が避けられないという意見だ。

長期化したグローバルインフレの輪を断ち切るための国際通貨政策が最大のカギだ。

今月6日、米国連邦準備制度は物価上昇現象が持続する場合、一層制約的な通貨政策が加えられると予告した。

景気減速を甘受してでも基準金利の追加引き上げを断行できるということだ。金融費用が高くなった企業は経営が萎縮し、景気低迷と消費減少につながり、市場低迷に直結する恐れがある。

前代未聞の「市場不確実性」に直面したスマートフォン業界は下半期に発売予定の新製品とマーケティングに勝負をかける計画だ。

グローバル市場で激しい先頭競争を続けているサムスンとアップルの二強体制が固まるものとみられる。

下半期にはサムスン電子の野心作である「フォルダブルフォン」とアップルの「iPhone」が激突する。プレミアム・ハイエンド「フラッグシップ製品(事業主力・代表品目)」で冷え込んだ消費心理と市場需要を引き上げる考えだ。

サムスン電子は来月、第4世代フォルダブルフォン「Galaxy Z Fold4」と「Galaxy Z Flip4」を公開する計画だという。

サムスン電子はフォルダブルフォン分野では独占に近い80%のシェアを占めている。出荷量と市場ともに急激な成長傾向が予想され、今後のスマートフォン実績を牽引するものと予測される。サムスン電子はフォルダブルフォンがiPhone出荷量にはるかに及ばない点を考慮し、新製品出荷量を大幅に増やす計画だという。

アップルも今年9月に新製品「iPhone14シリーズ」を公開する見通しだ。カメラ機能とプロセスなどソフトウェア機能を一層強化し、消費者の購買欲求を引き上げる計画だ。

業界では出荷量と戦略的マーケティングが勝負所になるという意見だ。

業界関係者は「フォルダブルフォンの急騰する需要とは別に、供給側面ではまだiPhoneにはるかに押されている。1億台と1000万台の競争」とし「出荷量が下半期のシェア競争に大きな影響を及ぼすだろう」と見通した。

それと共に「11月に集中しているブラックフライデーとカタールW杯シーズンに繰り広げられる戦略的なマーケティングも下半期の売上を大きく左右するものと見られる」と述べた。

英国ナッシング社の「フォンワン」等、デザイン・価格競争力を前面に出した中低価格フォンがプレミアム需要を一部代替するだろうという一部の主張に対しては「景気低迷で消費心理が凍りついた状況ではスマートフォン交替周期が長くなりむしろハイエンド製品の実績が堅調になる」とし「ただしハイエンド製品だけに重点を置けば全般的な売上減少は避けられないだろう」と述べた。

参考記事:世界的なリセッション懸念拡大…サムスンもアップルもスマホ「減産」傾向
参考記事:サムスン、スマホ世界一を維持…下半期はフォルダブルフォンの重要性高まる
参考記事:さすがサムスン…スマートフォンの世界シェアで3ヵ月連続1位を記録

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