インテルやAMD、NVIDIAなどの主要システム半導体企業が原価上昇などの影響を反映し、新型CPU(中央処理装置)やGPU(グラフィック処理装置)の価格を相次いで引き上げる見通しだ。韓国メディア「BUSINESS POST」が報じた。(写真:インテルのCPUイメージ=インテル)
原文記事:https://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=287164
CPUとGPU価格の上昇は、消費者のパソコン買い替えサイクルの増加や高性能パソコンの需要減少へとつながり、サムスン電子やSKハイニックスメモリ半導体の業績不振への圧迫をさらに増大させかねない。
16日、日経アジアなどの外国メディアによると、インテルはパソコンメーカーをはじめ顧客会社に供給する半導体製品の価格を最大20%ほど引き上げる計画を立てている。
インテルは半導体生産にかかる費用と素材原価が上昇した点を値上げの理由として提示し、下半期に発売されるパソコンとサーバ用CPU新製品から高くなった価格を適用しようとしている。
CPU市場でインテル最大のライバル会社であるAMDも、同じ時期に新型CPUやGPUの発売計画を立てているが、値上げは避けられそうにない。
AMD半導体を主に生産している台湾TSMCが最近、数回にわたってファウンドリ単価を引き上げ、来年も追加価格引き上げを顧客会社に通知したことが分かったためだ。
TSMCに半導体委託生産を任せるNVIDIAも、RTX4080など次期GPUの新製品価格を前作と比べて大幅に引き上げ、発売時期もやや遅らせる案を積極的に検討している。
主要システム半導体企業の製品価格の引き上げは、世界的なインフレによる物価や賃金上昇、物流費などの費用や半導体原材料価格の高騰による結果だ。
経済成長の鈍化で消費心理が鈍化し、パソコンの買い替え周期も長くなる状況で、CPUやGPU市場を寡占している半導体企業の価格引き上げは需要にさらに悪影響を及ぼすしかない。
特に、値上げ幅が大きいものと予想される高仕様CPUやGPUを活用する高性能ゲーム用や作業用パソコン需要に重点的に影響が集中する公算が大きい。
これは自然にDRAMやNAND型フラッシュベースのSSDなど、パソコンに搭載されるメモリ半導体の需要鈍化に繋がらざるを得ず、サムスン電子とSKハイニックスが揃って打撃を受けることになるものと見られる。
サムスン電子とSKハイニックスは、パソコン用DRAMとNAND型フラッシュに半導体事業の売上と利益を大きく依存している。今年、パソコンやスマートフォンの需要が全般的に鈍化し、下半期の業績不確実性が高まった。
このような状況で、システム半導体企業のCPUやGPU価格の引き上げは、自ずとパソコンの買い替え需要の減少によるメモリ半導体需要の軒並み下落につながり、さらに大きな打撃を与えかねない。
しかも、高仕様パソコンに主に使われるDDR5規格DRAMや高容量SSDなどの製品の販売量減少は、サムスン電子やSKハイニックスの収益性確保にさらに負担を増大させかねない。
システム半導体の価格引き上げがかえってメモリ半導体には悪材料として作用し、需要鈍化で価格反騰が難しい状況を導く可能性が高いわけだ。
インフレが長期化局面に入っただけに、インテルやAMD、NVIDIAなどの企業が半導体製品の価格を下げるのは当分難しい見通しだ。
これら企業のサーバ用システム半導体価格の引き上げも、大手IT企業のサーバ投資萎縮につながり、サーバ用メモリ半導体の需要まで鈍化する状況に現れかねない。
パソコン用メモリ半導体に続き、これまで相対的に安定的な需要と価格防御能力を見せてきたサーバ用メモリ半導体業況まで悪化し始めれば、サムスン電子とSKハイニックスの業績にさらに不安が大きくなる。
メモリ半導体企業もやはり半導体原価上昇などにともなう圧迫を受けている状況で、色々な悪材料が重なり当分業況改善を期待しにくくなった。
サムスン電子とSKハイニックスは、早いうちに第2四半期の業績発表カンファレンスコールを開き、下半期の半導体業況の見通しや対応戦略について言及するものと予想される。
この日のイベントでメモリ半導体供給調節を通じた収益性防御などの対応戦略が具体的に公開される公算が大きい。
米国CNBCは「インテルなど半導体企業の値上げは結局、新型コロナウイルス事態にともなうサプライチェーン毀損が根本的原因」とし「パソコンとスマートフォン、自動車など色々な業界に影響が広がっている」と報道した。
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