メモリ半導体の業況が下半期から本格的に悪化するという見通しが出ている中、サムスン電子はこれに対抗してファウンドリ(受託生産)事業に拍車をかけている。韓国メディア「イートゥデイ」が報じた。(写真:グローバルDRAM主要企業売上及びシェア=イートゥデイ)
原文記事:https://www.etoday.co.kr/news/view/2159093
31日、サムスン電子が最近発表した経営業績によると、同社は第2四半期に半導体事業を担当するDS部門で計9兆9800億ウォン(約1兆225億円)の営業利益を上げた。金融投資業界では、このうちメモリ事業部の第2四半期の営業利益を9兆ウォン(約9221億円)前後と推定している。全体営業利益である14兆1000億ウォン(約1兆4446億円)のうち約63.8%がメモリ半導体事業から出たという意味だ。
一方、サムスン電子の業績を支えていたメモリ半導体の下半期の見通しは不透明な状況だ。
メモリ半導体の市況は世界景気と密接に関連しているが、最近グローバル景気低迷の懸念の中でスマートフォンやパソコンなどIT製品の需要が萎縮したためだ。主要企業のサーバ投資も保守的に変わり、市場の不確実性はさらに広がっている。
このような事情があるため、昨年末から始まったメモリ半導体価格の下落傾向が今年下半期から本格化するものとみられる。
台湾市場調査機関のトレンドフォースは最近の報告書で第3四半期にDRAMとNAND型フラッシュの価格が第2四半期対比それぞれ5~10%、8~13%下落すると予想した。
サムスン電子の経営業績がメモリ業況に大きく影響を受けるだけに、メモリ業況の悪化でサムスン電子の下半期業績が悪化するだろうという分析もこの時点で出ている。
先立ってサムスン電子はメモリ好況時期だった2017~2018年2年連続で年間売上・営業利益・当期純利益の3指標で最大値を更新した。反面、メモリ下落傾向だった2019年には年間営業利益が前年対比急減したりもした。
当時を反面教師にしていたサムスン電子は、下半期のメモリ半導体の成長エンジン鈍化に備え、ファウンドリ事業を新たな成長動力に育てている。
2019年「システム半導体ビジョン2030」発表を通じてファウンドリ事業を育成すると公言し、最近は具体的な成果も現れている。
今年第2四半期のサムスン電子のファウンドリ事業は、第2四半期基準で過去最大の売上と営業利益を達成した。4nm(ナノメートル)先端工程歩留まり(欠陥のない合格品の割合)の正常軌道進入と共にグローバル顧客企業に対する供給量を増やしたおかげだ。
特に先月は、世界トップのファウンドリ企業である台湾TSMCを抜いて、世界初の3ナノGAA工程第1世代ファウンドリ量産にも突入した。また、サムスンは2024年量産を目標に3ナノGAA第2世代工程も開発中であり、すでに大手顧客会社を確保したと明らかにした状態だ。
ただ、ファウンドリの後発走者であるサムスン電子は依然としてシェア面でTSMCに押されている。市場調査会社のトレンドフォースによると、今年第1四半期のファウンドリ売上シェアはTSMCが53.6%であり、サムスンは16.3%に過ぎなかった。
これに対しサムスン電子は、ファウンドリ事業の速い成長傾向を基盤に、3年以内にファウンドリ事業が自生力を備えられるようにするという計画を最近明らかにした。
サムスン電子ファウンドリ事業部のカン・ムンス副社長は今月28日に開かれた業績発表カンファレンスコールで「中長期市場見通しと顧客会社の需要を分析し、ファウンドリに対する投資を持続する計画」とし「現在の成長性が続けば2025年には自主投資財源を用意できる収益性に到達すると予想する」と述べた。
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