LGディスプレイが次世代ディスプレイである「透明有機発光ダイオード(OLED)」で新市場攻略に乗り出すと5日明らかにした。韓国メディア「ブリッジ経済」が報じた。(写真:透明OLEDで実現したNFT作品=LGディスプレイ)
原文記事:https://www.viva100.com/main/view.php?key=20220805010001339
透明OLEDはバックライトなしに画素自ら光を放つOLEDの長所を極大化した技術だ。従来のガラス窓に代わるほど透明度が高く、薄く軽いため、多様な産業分野で活用度が高い。
現在、大型透明OLEDはLGディスプレイが全世界で単独供給中だ。LGディスプレイは2019年、透明度40%の55インチ透明OLEDを商用化した。
透明OLED市場の規模は毎年2倍ずつ増加し、今後10年内に10兆ウォン(約1兆268億円)台に成長する見通しだ。グローバル戦略コンサルティング企業のボストンコンサルティンググループ(BCG)は、全世界の透明OLED市場規模が2022年1000億ウォン(約103億円)台から2025年は3兆ウォン(約3082億円)台に続き、2030年には12兆ウォン(約1兆2328億円)台に達すると見ている。
LGディスプレイは幅広い拡張性を基に、ショッピングモールと商業空間などに使われるサイネージはもちろん、地下鉄などのモビリティ、事務空間、ホームインテリア、デジタルアートなどの様々な分野で透明OLEDの採用範囲を拡大している。
ショッピングモールに透明OLEDを採用する場合、「透明ショーウィンドウ」として活用できる。今年5月にオープンした京畿道城南市板橋(キョンギド・ソンナムシ・パンギョ)所在の「ラップ(Lab)オブパリバゲット」には透明OLED38台で看板、スマート売り場、アートウォールなどを設置した経緯がある。
鉄道のガラス窓に透明OLEDを採用するなどの拡張現実の実現も可能だ。LGディスプレイは2020年から中国北京、深圳、福州など主要都市の地下鉄と日本JR東日本観光列車に客室窓用透明OLEDを供給した。今年初めCES2022では斗山(トゥサン)ボブキャットが操縦席前面ガラスの代わりにタッチ式透明OLEDを搭載したミニ電気掘削機「E35e」、現代(ヒュンダイ)重工業の子会社アビカーズが自律走行ボート運転席フロントガラスに透明OLEDを採用した拡張現実ナビゲーションシステムなどのモビリティコンセプト製品を披露したりもした。
事務室の空間活用度も高めることができる。オフィス外壁の窓ガラスやパーティションに透明OLEDを採用する場合、広々とした全景を見ると同時にテレビ会議、プレゼンテーション、エンターテインメントなどの用途にも使用でき、開放感を与える効果もある。
LGディスプレイは今年6月には米国ラスベガスで世界最大の建築設計企業であるゲンスラー(Gensler)社とコラボした「透明パーティション(モデル名:M923デジタル)」をはじめインテリア専門企業「エクサイエンシー」と共に壁自体をディスプレイとして使える「会議室用透明OLEDソリューション(モデル名:Eクリスタル)」等を公開したりもした。
透明OLEDを家庭内の壁または家具と結合すれば、インテリアの高級さをさらに高めることができる。LGディスプレイが独自開発した「透明ギャラリー」は透明OLEDに高感度タッチ機能を実現した製品だ。家庭内の壁または家具と結合してモノのインターネット(IoT)ウォールパッドやメディアコンテンツを再生するギャラリーとして活用でき、審美性と機能性をすべて満たす。
透明OLEDはデジタルアート界でも注目されている。実際、今年5月に透明OLEDで実現した初めてのNFT作品である「人類の重要な記憶」が競売で620万ドル(約80億ウォン、約8億円)で落札された経緯がある。この作品はLGディスプレイが世界的メディアアーティスト「レピックアナドール(Refik Anadol)」とコラボし、民間宇宙飛行プロジェクト「インスピレーション4(Inspiration4)」で収集したデータを人工知能で再解釈した作品だ。
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