最近、韓国内の電気自動車バッテリー市場で「円筒形」をはじめ、「リチウムリン酸鉄(LFP)」の主要キーワードとして急浮上している。韓国メディア「グローバル経済新聞」が報じた。(写真:サムスンSDIマレーシアバッテリー第2工場起工式の様子)
原文記事:https://www.getnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=594471
中国産低価格型バッテリー攻勢に押されて停滞していた韓国内バッテリー業界のグローバル市場シェアは時間が経つほど下落し、新規フォームファクター(形態)と素材多角化を通じて新しい市場を開拓しようとする動きが活発だ。
7日、業界によると、パウチ形と角形に押されて立地が減っていた円筒形バッテリーが復活するものと見られる。
円筒形は最も基本となるバッテリー形態で、コストと安定性の面で強みとして浮上している。
ところが、空間効率性が落ち、エネルギー密度が少ないという理由で電気自動車市場から事実上そっぽを向かれ、主に電動工具などに活用されてきた。
市場調査会社のSNEリサーチによると、電気自動車バッテリー市場で円筒形バッテリーシェアは2018年29%、2020年23%、今年第1四半期15.6%と相次いで低下した。
こうした中で変化を見せたのは「4680」円筒形バッテリーを採用することにしたテスラだった。4680バッテリーは市場の勢力図を大きく変える「ゲームチェンジャー」として注目を集めている。
直径46㎜をはじめ、長さ80㎜を意味する4680バッテリーは、従来のバッテリーよりエネルギー密度は5倍、出力は6倍それぞれ高め、走行距離を16%拡大したのが最大の長所だ。
これを受け、テスラを中心にBMWなどの完成車メーカーも円筒形バッテリーの採用を拡大しつつある。
エネルギー専門市場調査会社であるSNEリサーチは「4680円筒形電池」がバッテリー市場の新しい秩序になると予測した。
複数のバッテリー業界も急激に急騰する需要に合わせて、素早い対応に乗り出している。
まず、LGエナジーソリューションは米アリゾナ州に1兆7000億ウォン(約1743億円)を投資し、11GWh(ギガワット時)規模の円筒形バッテリー工場を建設する。
最近インフレーションなどにより投資費用が急騰し投資計画を再検討しているが、顧客需要や事業的要因に変化はないというのが会社側の説明だ。
続いて7300億ウォン(約748億円)を投資し、忠清北道清州(チュンチョンブクト・チョンジュ)の梧倉(オチャン)工場の円筒形バッテリー生産ラインを新・増設する。該当工場では2023年下半期からテスラに供給する4680バッテリーを量産する計画だ。
続いてサムスンSDも円形バッテリーの需要増加に対応し、マレーシアのスルムバンに1兆7000億ウォン(約1743億円)を投資してバッテリー第2工場を建設することにした。
さらに、忠清南道天安(チュンチョンナムド・チョナン)工場に46パイ(直径46㎜)バッテリーラインを構築しており、多数の完成車メーカーと46パイバッテリーの供給を議論していることが分かった。
このような中、バッテリー素材からも変化の気流が感知される。三元系NCM(ニッケル・コバルト・マンガン)バッテリーを核心製品として生産する国内バッテリーメーカー各社が中国企業に押され市場シェアが下がるやLFP市場に目を向けているのだ。
LFPバッテリーは製造原価が安く、NCMバッテリーと比べて安定性が大きいが、NCMバッテリーよりエネルギー密度が落ち、走行距離が短いのが限界と指摘されている。
しかし、グローバル完成車メーカー各社は、LFPバッテリー搭載を拡大している。技術進化でLFPのエネルギー密度がアップグレードされたうえ、インフレの余波で価格競争力が浮上しているためと解釈される。
実際、テスラは第1四半期に生産した電気自動車のうち、LFPバッテリーを搭載した車両の割合を50%に拡大した。フォルクスワーゲン、フォードなど他の完成車メーカーもLFPバッテリーの採用を推進している。
このような中、低価格型LPFバッテリーを主力に掲げた中国企業の躍進に、国内企業の市場シェアは時間が経つにつれ落ちている。
SNEリサーチによると、国内バッテリー3社のグローバル市場シェアは25.8%で、昨年同期より9.1%下落した。さらに、韓国バッテリー業界もLFPの開発に力を入れている。
LGエナジーソリューションは2023年、中国南京の生産ラインをLFPラインに転換し、ESS(エネルギー貯蔵装置)用製品を発売する。2024年には米国ミシガン工場に新規LFPラインを建設することにした。
SKオンも第2四半期業績発表コンファレンスコールで今年にLFPバッテリー開発を終える予定だとし、顧客会社と供給関連協議を行っていると明らかにした。
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