グローバルサプライチェーンの危機とエネルギー・原材料価格の上昇傾向が長期化する中で、韓国経済に深刻な赤信号が灯った。今月に入って貿易収支が赤字を出し、グローバル金融危機以後初めて5ヵ月連続貿易赤字が記録される可能性が高い。さらに、今年は110兆ウォン(約11兆2564億円)台の財政赤字まで予想され、「双子の赤字(財政赤字+経常赤字)」を記録するだろうという懸念が高まっている。韓国メディア「アジアタイムズ」が報じた。(写真:聯合ニュース)
原文記事:https://www.asiatime.co.kr/article/20220812500313
15日、関税庁によると、今月1~10日の輸出額(通関基準暫定値)は156億8800万ドル(約2兆966億円)で、前年同月比23.2%増加した。
主要品目の輸出動向を見ると、石油製品(177.0%)、乗用車(191.9%)、鉄鋼製品(26.3%)、自動車部品(29.4%)、精密機器(9.5%)などの輸出額が増え、半導体(-5.1%)、無線通信機器(-17.7%)、コンピューター周辺機器(-19.0%)などは減少した。
今月1~10日の輸入額は輸出額より大きい233億6500万ドル(約3兆1226億円)で34.1%も増加した。
主要品目別に見ると、原油(50.1%)、半導体(44.6%)、ガス(96.4%)、石炭(162.5%)、乗用車(71.7%)、半導体製造装備(23.7%)などが増えた。
これを受け、今月1~10日の貿易収支は76億7700万ドル(約1兆260億円)の赤字を記録し、昨年8月(46億8500万ドル、約6261億円の赤字)より赤字規模が拡大した。
今年に入って今月10日までの累積貿易赤字は229億3000万ドル(約3兆645億円)だ。
このような流れが続けば、今月も貿易赤字が続き、5ヵ月連続で貿易赤字を記録する公算が大きい。5ヶ月連続貿易赤字は2007年12月~2008年4月以後なかった。
これに先立ち、貿易収支は今年4月に24億7700万ドル(約3310億円)赤字以後、5月に16億1400万ドル(約2157億円)、6月に25億7500万ドル(約3441億円)、7月に46億6900万ドル(約6240億円)で4ヶ月連続赤字を記録した。これはグローバル金融危機当時の2008年(6~9月)以来初めてのことだ。
貿易赤字幅も次第に拡大している。今年1~7月の累積貿易収支赤字額は150億2500万ドル(約2兆80億円)に達し、関連統計を作成し始めた1956年以後66年ぶりに最大値を記録した。
輸出が好調を見せているにもかかわらず、先月の原油・ガス・石炭の輸入額も185億ドル(約2兆4724億円)で、1年前より87億9000万ドル(約1兆1747億円)も増加するなど、エネルギー輸入額の増加で貿易赤字の傾向が続く場合、韓国は2008年(-132億7000万ドル、約-1兆7735億円)以後14年ぶりに年間貿易収支赤字を記録しかねないという懸念が高まっている。
そのため今年は「双子の赤字」に陥るという憂慮も大きくなっている。韓国が双子の赤字を記録したのは1997年の通貨危機当時が最後だ。
企画財政部の「財政動向7月号」によれば、今年5月までに政府総収入から総支出を除いた統合財政収支は48兆9000億ウォン(約5兆40億円)赤字で1年前より28兆4000億ウォン(約2兆9062億円)赤字幅が拡大した。政府の実際の財政を示す管理財政収支は71兆2000億ウォン(約7兆2860億円)の赤字で、これも赤字幅が22兆7000億ウォン(約2兆3229億円)大きくなった。政府は今年の管理財政収支赤字が110兆8000億ウォン(約11兆3383億円)に達するものと見込んでいる。
ただし韓国政府は我が国のようにエネルギー輸入依存度が高い日本・ドイツ・フランスなどでも貿易赤字が持続していると強調している。また、貿易収支の赤字にもかかわらず、経常収支は黒字を予想し、双子の赤字はないだろうと見込んでいる。
それと共に財政収支管理のために管理財政収支赤字比率を来年から「3%以内」に縛るという目標を提示した。今年の赤字比率はこの基準を大きく上回る水準だ。
大統領室のチェ・サンモク経済首席秘書官は今月4日、「管理財政収支が国内総生産(GDP)対比5%水準まで増えた部分は過度に大きい状況だ」とし、「来年の管理財政収支からは先進国管理基準であるGDPの3%水準以内に管理するために、すべての政策力量を集中している」と述べた。
参考記事:韓国、5月貿易収支は17億1千万ドルの赤字…エネルギー・原材料価格の上昇で
参考記事:止まらないウォン安…長期化も懸念され緊張感が高まる韓国経済
参考記事:2Q輸出、不確実性拡大で鈍化見通し…輸出景気予測指数が久々に100を下回る