抗生剤のアンフィシリン(Ampicillin)と伝導性高分子混合物を活用して高い外部量子効率を持つ有機電界発光素子(OLED)を韓国内の研究チームが実現した。韓国メディア「産業日報」が報じた。(写真:エネルギー再活用光放出方式に関する図式=高麗大学校リュウ・スンユン教授)
原文記事:http://www.kidd.co.kr/news/228827
韓国研究財団は16日、リュ・スンユン教授(高麗大学校、第1著者キム・ドンヒョン、イ・チャンミン博士課程)研究チームが抗生剤基盤の微細構造合成を通じて有機電界発光素子の効率を高めることができる源泉技術を確保したと明らかにした。
最近、炭素中立のためのエネルギー使用の高効率性が台頭しており、高い電力効率を持つディスプレイ素子の研究が活発に行われている。
特に有機電界発光素子は無限大の明暗比と豊富な色再現率、そして高い電力効率特性を基盤にスマートフォン、車両向けディスプレイだけでなく拡張現実用ディスプレイなど広い分野で潜在力を認められている。
しかし、有機電界発光素子の効率を最大限増加させるためには、二重、三重に素子を結合したり別途の微細パターン基板を使用するなど複雑な工程を経なければならないという限界があった。
そこで研究チームは、アンフィシリン抗生剤と伝導性高分子を合成し、水溶液基盤の微細構造を実現した。また、これをディスプレイ用素子に採用して有機太陽電池、ペロブスカイトおよび量子ドット光電素子のような多様な素子に採用できることを確認した。
素子内部に作られたアンフィシリン微細構造は、電気エネルギーと光エネルギーを効率的にリサイクルし、素子自ら光を出せるようにする。全反射によって放出されず素子の中に閉じ込められる光に対する光抽出も容易にして効率を高めた。
これはスマートフォン、テレビなどディスプレイの電力消耗を節減させてバッテリー使用時間を増やし、ディスプレイ自体の寿命を延長する効果につながりうる。
研究チームは今回の研究について、ディスプレイだけでなく太陽光電池、量子ドット素子など多様な分野で使用できる正孔注入層としての活用可能性を検証したと明らかにした。また、医療分野で使用する抗生剤と電子素子の種類の一つである有機電界発光素子の融合が抗生剤用途の新しい道しるべを提示し、高性能光電子とバイオ電子素子の開発などを促進するものと期待感を示した。
一方、今回の研究の成果は科学技術情報通信部と韓国研究財団が推進する中堅研究事業および教育部と韓国研究財団が推進する重点研究所支援事業として遂行した。
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