サムスンSDIが電気自動車(EV)バッテリーの生産拡大に向け、欧州現地に2兆ウォン(約2041億円)を投資する。既存のハンガリー電気自動車バッテリー工場を増設し、生産能力を高める。これにより、年間電気自動車100万台に搭載できるバッテリー生産能力を確保することになる見通しだ。韓国メディア「電子新聞」が報じた。(写真:サムスンSDI社長がハンガリー外交部長官と握手する様子=電子新聞)
原文記事:https://www.etnews.com/20220823000222
サムスンSDIは最近、ハンガリーの電気自動車バッテリー生産能力の拡大に2兆ウォン(約2041億円)を投資する計画を理事会で最終確定した。ハンガリー工場の増設を含め、来年下半期まで生産能力を年間60GWh水準に拡大する。60GWhは70アンペア(A)大容量バッテリー月1万個規模、電気自動車100万台以上の電気自動車バッテリー生産分だ。ハンガリー工場の既存生産能力に比べ70~80%の生産量が増える可能性がある。
サムスンSDIは今後の市場状況を考慮し、大規模な海外投資に踏み切る。昨年だけでも電気自動車、情報技術(IT)、エネルギー貯蔵装置(ESS)など全体分野のバッテリーをすべて合わせた投資金額が2兆ウォン(約2041億円)水準だった。欧州の電気自動車バッテリーだけに注ぐ2兆ウォン(約2041億円)は単一規模で、過去最大水準と推定される。サムスンSDIは具体的な投資項目を公開しなかったが、すでに執行を終えたモバイル、ESS分野を除けば、この2年間、電気自動車バッテリーだけで3兆ウォン(約3060億円)位の投資が予想される。
サムスンSDIが欧州投資に乗り出すのは、グローバル完成車業界の電気自動車バッテリー需要に対応するためだ。電気自動車バッテリーは完成車メーカーが多数布陣している欧州地域を中心に需要が急増した。グローバル完成車メーカーもバッテリー供給不足事態で、独自のバッテリー製造にまで乗り出している。バッテリー不足事態のため、自動車の電動化が難しいほど深刻な供給難に対応し、大規模な投資に踏み切ったものと分析される。
今回の投資は収益性中心の成長に優先順位を置いていたサムスンSDIの戦略変化と読まれる。サムスンSDIは今年第2四半期に営業利益4000億ウォン(約408億円)を突破し、過去最大の利益を達成した。電気自動車バッテリーも高付加価値の電気自動車バッテリー独自ブランドである「フリーマックス」を中心に事業を拡大した。今年上半期の営業利益率は6%で、国内バッテリー業界で最高値だ。
サムスンSDIが大規模投資を通じて持続可能な成長に挑戦したものと観測される。サムスンSDIの電気自動車バッテリーの受注が増えていることも好材料として作用している。フリーマックスはフォルクスワーゲン、BMW、アウディ、ステランティス、ボルボなどのプレミアム新規電気自動車に搭載される。これらのメーカーの新規電気自動車ブランドを中心に、高付加価値フリーマックス製品を拡大していくものと予測される。
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