サムスンディスプレイとLGディスプレイがテレビ向け大型ディスプレイ新規投資を保留し、中小型OLED(有機発光ダイオード)中心に投資を転換する。韓国メディア「sporbiz」が報じた。(写真:チェ社長がIMID2022開幕式で基調講演をしている様子=サムスンディスプレイ)
原文記事:http://www.sporbiz.co.kr/news/articleView.html?idxno=629718
景気低迷で消費心理が萎縮し、全世界の大型テレビ需要が鈍化傾向を見せると、急成長している情報通信(IT)機器用と車両用など中小型OLEDに投資方向を変えたものと分析される。
サムスンディスプレイは今年6月、LCD事業を完全に終了し、LGディスプレイは順次整理している。これに伴い、両社は既存LCD生産ラインを中小型OLED生産ラインに転換する可能性が高い。
実際、サムスンディスプレイは、従来LCDパネルとして使われていた忠清南道牙山(チュンチョンナムド・アサン)キャンパス内のL8-2ラインでIT用OLEDを生産すると明らかにした。
サムスンディスプレイのチェ・ジュソン社長は今月24日、釜山(プサン)ベクスコで開かれた「IMID(国際情報ディスプレイ学術大会)2022」開幕式基調演説者として出て「COVID-19パンデミック以後、IT機器の多様化が加速化している」とし「このような変化に最適化された自発光ディスプレイ市場は今後急速に成長するだろう」と述べた。
さらにチェ社長は、「年間売上500億ドル(67兆ウォン、約6兆8370億円)達成に向け、2024年の稼動を目標に、第8世代(2200×2500ミリ)IT用OLED生産ラインへの投資を最近確定した」とし、「グローバル顧客会社と協力し、ITと車両用ディスプレイ事業を拡大していく計画だ」と明らかにした。
LGディスプレイのチョン・ホヨン社長も今月10日、「Kディスプレイ2022韓国ディスプレイ産業展示会」開幕イベント直後、記者団に対し、従来のLCDパネルラインであるP7運営計画について、「大型OLEDとIT向けへの転換など、さまざまな互換性を考慮している」と述べた。
サムスンディスプレイはLCD生産当時も中小型ディスプレイ比重が80%に達したが、中短期的に90%程度に比重をさらに拡大するという予測が出ている。
LGディスプレイも中小型OLEDの生産比重を高める計画だ。中小型OLEDライン増設のため、2024年までに3兆3000億ウォン(約3388億円)を投入する方針だ。
市場調査会社のオムディアは、今年の世界テレビ出荷量の予測値を2億879万4000台と見て、13年ぶりに最低値を記録するものと予想した。ただし「2022年にサムスン電子・デルなどグローバルIT完成品メーカー9ヶ所がOLEDモニターを発売した」とし、「グローバルモニター用OLED売上は2021年より2倍増加するだろう」と見通した。モニター用OLEDは主にタブレットやノート型パソコンなどに採用されるIT用OLEDパネルだ。
サムスンディスプレイが2024年に量産するIT用OLEDパネルは、アップルの第2世代OLEDアイパッドプロに搭載されるという。
LGディスプレイもタブレットPCとゲーム用モニターに搭載される20インチ台のOLEDパネルを坡州(パジュ)や中国広州の生産ラインで製造し、年内に顧客会社に供給する予定だ。
一方、サムスンディスプレイとLGディスプレイは今月23日から4日間、釜山(プサン)ベクスコで開かれた国際情報ディスプレイ学術大会「IMID2022」に参加し、最先端ディスプレイを展示し、次世代OLED技術を披露した。
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