サムスンのGalaxy Foldのようなフォルダブルフォン、いわゆる「折りたたみスマートフォン」等に採用できる軽くてよく曲がる半導体技術が国内研究チームによって開発された。韓国メディア「デジタル朝鮮日報」が報じた。(写真:UNISTが開発したHP-FANのフィルム=UNIST)
原文記事:http://digitalchosun.dizzo.com/site/data/html_dir/2022/08/30/2022083080329.html
蔚山科学技術院(UNIST)エネルギー化学工学科のペク・ジョンボム教授チームは曲がる「有機半導体」製作が可能な物質である「HP-FAN(エイチピー-ファン)2次元有機高分子構造体」を合成したと30日明らかにした。研究にはPOSTECH化学工学科のチョ・ギルウォン教授チームも参加した。
現在、フォルダブルフォンには「シリコン半導体(無機半導体)」が使われている。性能は優れているが、硬くて重く「曲がるディスプレイ(Flexible display)」やウェアラブル電子機器に採用するには限界があった。これに代わる物質として「グラフェン」が注目された。だが「点滅比(On/off ratio)」が低すぎるという問題があった。点滅比は半導体に電圧を印加することによって流れる電流量の比率だ。この値が大きいほど半導体に流れる電流量を効果的に制御できることを意味する。
グラフェンの限界を越える代案として「有機半導体」研究が活発に進行中だ。有機半導体は柔軟で軽い。しかし、これも有機半導体も電荷移動度が低いという問題点があった。電荷移動度の低い素材で半導体素子を作れば電気的信号伝達が遅くなる。これはディスプレイなどで色変換遅延などを誘発する。
ペク・ジョンボム教授チームはこの問題の解決のために新しい構造体を考案した。二種類の化学物質(HABとDHBQ)を反応させてHP-FAN構造体を得たのだ。この構造体は2次元芳香族構造に均一な気孔と窒素(N)原子が添加され、高い点滅比と電荷移動度を持つ。
新しい有機構造体合成のために使われた技術は「芳香族環化反応」だ。反応結果物が単一結合と二重結合が交互に連結され、輪を形成する化学反応だ。今回の研究では2つのアミン基とケトン基が結合して芳香構造を形成し、非常に安定した構造を形成した。
ペク・ジョンボム教授は「今回の研究で2次元高分子を有機半導体材料として使用した時の慢性的な問題を全て克服した」とし「今後『夢の新素材』と呼ばれるグラフェンを跳び越えて有機半導体開発に大きな進展があるだろう」と述べた。
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