ホンダと合弁で米工場を建設するLGエナジーS、持分「51%」の意味は

LGエナジーソリューション(LGES)が日本のホンダと手を握り、米国にバッテリー工場を建てる。完成車メーカーとの合弁で北米生産拠点作りに乗り出すのはGM、ステランティスに続きホンダが3番目だ。来年上半期に着工し、2025年末に本格量産に突入することが目標だ。韓国メディア「the bell」が報じた。(写真:HONDAとLGESの合弁契約締結式の様子=LGエナジーソリューション)
原文記事:https://www.thebell.co.kr/free/content/ArticleView.asp?key=202208301233119440101392

注目に値するのは合弁会社に対する持分投資の割合だ。LGESが51%で過半数を確保する。米国のインフレ削減法(IRA)施行で韓国バッテリー企業の身代金が以前より高くなるという観測と相まって、LGESが合弁会社の主導権を確実に握るという意図と解説される。今回の件は、IRA発効後初めて出た韓国バッテリー企業と完成車メーカー間の合弁事例だ。

持分構造は51(LGES)対49(ホンダ)に確定した。最近急速に増えているバッテリー・完成車メーカー間の協力事例でよく見られる割合だ。双方が半分ずつ出資するか、50±1%に分ける場合がほとんどだ。後者の場合、今回のように完成車メーカーではないバッテリー会社が51%だ。

LGESの先の事例だけを見ても分かる。GMと50対50で、ステランティスとは51(ハンソル)対49で合弁法人を設立した。LGESとGM(アルティアムセルズ)は、米オハイオ州とテネシー州、ミシガン州にそれぞれ生産施設を構築する。合わせて120GWh規模だ。ステランティスとの合弁工場(ネクストスターエナジー)はカナダのオンタリオにある。2024年完工予定で年産45GWh規模だ。

「50%+1%」と「50%-1%」は似ているように見えるが微妙な差がある。主要意思決定の際、双方の合意を経るが、筆頭株主の声がさらに大きくならざるを得ない。通常、代表取締役も51%株主側が出す。半分ずつ出資した場合、それぞれ一人ずつ代表を出すなど最大限同等にするのとは違う。もちろん合意に基づいて同じように出資しても、一方の役員が代表を務める事例もなくはない。

これはバッテリー会社が完成車メーカーとの関係で優位を占めたり、少なくとも劣位に置かれることはないという意味と見られる。電気自動車時代の完成車と部品メーカー(バッテリー企業)間の関係は、過去の内燃機関車時代とは全く違う。以前はいわゆる甲乙関係だったとすれば、今は互いにウィンウィンする概念で共生の性格が強い。

バッテリー企業が受注を獲得することに劣らず、完成車メーカーが良質のバッテリーを手に入れることが重要だからだ。安全上の課題と直結するだけでなく、市場の先取りや事業拡大のためにも安定的な供給先の確保が欠かせない。バッテリー製造業は高度な技術力が必要で、参入障壁が高い方だ。完成車メーカーの立場からは選べる選択肢が多くないわけだ。

このような特性はバッテリー企業の自信が高まるのに一役買った。過去には「先受注、後増設」戦略が通用したが、今は「昔話」になった。受注なしにも先制的増設に乗り出すところが増えている。それだけ需要が支えてくれているわけだからだ。

特に、ジョー・バイデン米大統領がIRAに最終署名し、LGESがより確実に主導権を持てる雰囲気が造成された。韓国内バッテリー企業の身代金が急騰するという観測が出たためだ。北米市場で中国企業が排除される反射利益を享受するという期待だ。グローバル市場でCATLとBYDなどを除けば、事実上は韓国企業3社と日本のパナソニック程度が残る。

SNEリサーチによると、今年上半期のバッテリー企業別市場シェアは△CATL(34.8%)、△LGES(14.4%)、△BYD(11.8%)、△パナソニック(9.6%)の順だ。CATLは昨年(28.6%)よりシェアを拡大し、BYDはパナソニックを抜いて3位につけた。中国内需市場が含まれた数値という点を考慮しても、中国企業の活躍が目立つという点は否定できない。

これは韓国バッテリー企業の立場では順位圏争いをする中国企業が抜ければ北米市場シェア拡大が容易になるという意味でもある。彼らに向けた完成車メーカー各社のラブコールが増えるからだ。これはバッテリー企業が合弁会社との関係で優位を占める結果につながる可能性が高い。

LGESとホンダの合弁が実現した背景の一つとしてIRAが挙げられるのもこのような理由からだ。持分構造にも影響を及ぼした可能性がある。もちろんバッテリー企業はIRA基準に合わせてバッテリー核心鉱物と部品の中国産比重を徐々に下げなければならない宿題がある。

大信(テシン)証券のチョン・チャンヒョン研究員は「米中紛争激化により現地進出が難しくなった中国企業、消極的な現地投資を展開する日本企業に比べ、韓国バッテリー企業が北米EVバリューチェーン構築協力パートナーとして事実上唯一の代案として台頭した」と診断した。

参考記事:米国のEV市場を先取りせよ…LGエナジーS、GMに続きホンダと合弁会社検討
参考記事:LGエナジーS、日本商用車最大手いすゞに「1兆ウォン規模」バッテリー供給
参考記事:LGエナジーSとサムスンSDIの第2四半期業績は順調も、SKオンだけが赤字なぜ

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