バイデン米政府が人工知能(AI)用先端半導体と関連製造装備に関する強化された対中輸出規制を公式化し拡大する予定だという。未来技術覇権をめぐり、米国の中国牽制の水位がますます高まっている。韓国メディア「マネートゥデイ」が報じた。(写真:バイデン米大統領=news1)
原文記事:https://news.mt.co.kr/mtview.php?no=2022091214464954921
11日(現地時間)、ロイターは事案に詳しい複数の消息筋の話として、米商務省がこれに先立ち、半導体装備メーカーのKLA、ラムリサーチ、アプライドマテリアルズの3社に送った通知文をもとに、来月(10月)、新たな対中輸出規制を発表する予定だと報じた。
これに先立ち、商務省はこれらの会社に書簡を通じて14nm(ナノメートル・10億分の1m)以下の工程の先端半導体生産に活用する装備を中国に輸出する際、商務省の許可を受けるようにした経緯がある。数値が低いほど難しい工程だが、輸出統制基準を従来の10nmから14nmに拡大し、輸出をさらに難しくしたのだ。
また商務省は最近、世界1・2位のAI半導体メーカーであるNVIDIAとAMDにAI用高性能グラフィック処理装置(GPU)半導体を中国に輸出する際、事前許可を受けるようにしたが、この内容も今回成文化する予定だ。
これと関連してロイターは「米商務省が複雑な規制手続きを迂回し通知文を通じて一部企業を相手に素早く輸出統制を適用したが、今回は規制内容を文書で発表することにより関連技術を持つ業界全般に規制対象が拡大する恐れがある」と指摘した。
まだ商務省の書簡を受け取っていないが、AI用半導体市場でNVIDIAやAMDの牙城に挑戦していたインテルやセレブラスシステムズのようなスタートアップも新たな規制の下に置かれることになるという話だ。
ある消息筋は、「輸出規制を受ける半導体が含まれた製品も、中国に輸出する際、事前許可を受けなければならない」と耳打ちした。この場合、NVIDIAの先端半導体A100が装着されたデータセンターサーバを作るデル、ヒューレットパッカード、スーパーマイクロコンピューター(SMCI)なども規制対象になる。
今回の規制で、中国にある韓国半導体企業まで打撃を受けかねないという懸念も出ている。米国で核心装備を受給できない可能性があるからだ。サムスン電子は西安と蘇州にNAND型フラッシュ生産工場と半導体パッケージング工場があり、SKハイニックスはインテルから買収した中国大連のNAND型フラッシュ工場を保有している。
関連企業は今回の報道内容に対する言及を控え、状況を注視しているという反応を示したとロイターは伝えた。
商務省のこのような動きは、米政府が優位を占める技術に対して中国の挑戦を阻止しようとする中で出たものだ。特に、バイデン政府は先端半導体の需給と国産化に総力を傾け、先端半導体の戦略物資化に積極的に乗り出している。
このためバイデン大統領は先月9日、米半導体産業に総額2800億ドル(約39兆8453億円)を投資する内容の半導体支援法に署名した。ここには米国に半導体工場を建てる企業に計390億ドル(約5兆5499億円)規模で投資資金を支援し、同時に25%の税額控除恩恵を与える内容が盛り込まれた。ただ、支援金を受ける企業は、中国に先端半導体投資を新たにしてはならない。
戦略国際問題研究所(CSIS)のジム・ルイス技術部門専門家は「米国の戦略は中国の息の根を絶とうとするものだが、米国は半導体が核心ポイントだと見ている」と述べた。
一方、米国当局は同盟国にも接触し、米国と同様の対中輸出規制政策を導入するよう説得しているという。ドナルド・トランプ前政権でホワイトハウス国家経済諮問委員会(NEC)副補佐官を務めたクリート・ウィレムスは「同盟国との協力は政策効率性を最大化し意図しない副作用を最小化する鍵」とし、「このためには一回限りの通知文よりは幅広い規制が適切だ」と述べた。
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