米国に続き欧州連合(EU)まで強制労働や人権弾圧地域と国家から生産された製品の輸入禁止を推進し、韓国内バッテリーメーカーの供給網に再び飛び火する兆しだ。コバルトやリチウムなどバッテリー核心素材の主要生産地域が強制労働議論から抜け出せなかっただけに、強力な管理が必要だという指摘だ。韓国メディア「アジア経済」が報じた。(写真:聯合ニュース)
原文記事:https://view.asiae.co.kr/article/2022091909573481508
19日、業界によればEU執行委員会は14日「強制労働禁止法」推進計画を発表した。EUが推進する強制労働禁止法は強制労働を通じて生産された製品の輸入・輸出を含め国内生産を禁止するという内容を骨子としている。特定地域を明示しなかったが、中国新疆ウイグルを狙ったという評価が出ている。
これに先立ち、米国は今年6月から強制労働と関連して「ウイグル族強制労働禁止法」により中国新疆ウイグル自治区から輸入を包括的に禁止した経緯がある。
中国の新疆地域は、世界的な炭酸リチウムの主生産地として挙げられる。これを基盤に中国は世界リチウムイオン電池の75%ほどを生産している。特に、中国リチウム基盤バッテリー産業と関連した現地企業の相当数が新疆ウイグル地域で原材料を生産したり、ウイグル族労働者を雇用していると伝えられている。
世界コバルト生産量の70%ほどを占めるアフリカコンゴ民主共和国(DRコンゴ)のコバルト鉱山採掘権を中国企業が掌握し「奴隷労働」論難がふくらんだ経緯がある。
中国は約10年前からDRコンゴのコバルト鉱山に攻撃的な投資をしてきており、DRコンゴ最大コバルト鉱山の一つであるテンゲプングルメ鉱山は中国の鉱物企業であるモリブデンが持分の80%を所有している。このような中国企業が掌握したDRコンゴのコバルト鉱山で、まるで植民地時代の奴隷労働を彷彿とさせる深刻な労働搾取がなされているという報道が続き、バッテリー供給網の強制労働問題が話題に浮上した。
国内バッテリー企業のサプライチェーン管理への対応にも神経を尖らせている。一部のメーカーは、新疆産炭酸リチウムやコンゴ産コバルトを輸入しているという。該当地域で生産された原料を使うバッテリー企業は、自分の原料供給過程で強制労働がなかったことを立証しなければならない負担を抱え込むことになる。
サムスンSDIは「エスパートナー(S-Partner)」制度を通じてパートナー企業のESG(環境・社会・支配構造)リスクを審査している。児童労働や強制労働、汚染物質の排出、環境許認可などの主要事項に対しては不寛容原則を適用する。LGエナジーソリューションとSKオンも責任あるサプライチェーン管理政策を導入、施行してきている。
バッテリー業界の関係者は「原料入庫および製品生産履歴を追跡管理中」としながらも「バッテリー供給網自体が世界的に膨大で複雑に絡み合っているため、ESGリスクを完璧に解消することは容易ではないだろう」と憂慮した。
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