米国が中国半導体生産企業に対する高強度輸出統制措置を発表した。半導体製造装備の中国輸出を全面統制し、人工知能(AI)・スーパーコンピューターに使われる半導体チップの輸出も防ぐ。
これに対しサムスン電子とSKハイニックスなど中国内の生産施設を保有している企業も状況を注視している。韓国メディア「EBN産業経済」が報じた。
原文記事:https://www.ebn.co.kr/news/view/1549832/
9日、関連業界と外信などによると、米商務省産業安全保障局(BIS)は今月7日(現地時間)、軍事分野はもちろんスーパーコンピューター開発・維持などに使われる先端コンピューティング半導体技術など輸出統制措置を発表した。
米商務省は「中国の(半導体技術と関連した)能力は大量破壊兵器(WMD)をはじめとする先端兵器システムの生産、軍の決定と計画および物流の速度と正確性の改善、自動軍事システム、人権蹂躙などに使用している」と主張した。
今回の措置で△18nm(ナノメートル・10億分の1m)以下のDRAM、△128段以上NAND型フラッシュ、△フィンフェット(FinFET)技術などを使ったロジックチップ(16nmないし14nm)などを超過した半導体を生産できる装備・技術を米国企業が中国に販売する場合、許可を受けることになる。
中国内の生産施設が中国企業所有の場合、いわゆる「拒否推定原則」が適用されるので事実上関連技術・製品輸出が全面統制されるわけだ。
ただ、中国内の生産施設を外国企業が所有している場合に対しては、件別で個別審査することになる。現在、サムスン電子は中国西安にNAND型フラッシュ生産工場を、SKハイニックスは無錫にDRAM工場、大連に子会社ソリダイム(旧インテルNAND事業部)のNAND工場を稼動している。
サムスン電子は、西安工場で全体NAND型フラッシュ生産量の40%を生産する。SKハイニックスもDRAMの中国生産比率が半分に達することが分かった。
サムスン電子は別途の公式立場を出さなかったが、今後の波紋などを注視し、政府と緊密に協議して対応していく方針だ。
中国にメモリ半導体生産工場を運営する韓国企業は個別審査を受けることになっただけに、直ちに打撃が大きくはないものと見られる。中国の半導体企業と技術格差を広げ、韓国企業がむしろ反射利益を得ることができるという分析も出ている。
反面、装備を輸入する度に別途許可を受けることになり事業が遅延し、難しくなった手続きにより長期的には不確実性が大きくなったというのが業界の衆論だ。
これと関連してSKハイニックスは公式立場を出し「政府と緊密に協力して米国から個別許可(ライセンス)を確保するために必要な手続きと書類準備に万全を期する」とし「政府と歩調を合わせて国際秩序を遵守する範囲内で中国工場を問題なく運営できるよう努力し国内半導体産業に及ぼす影響を最小化するために努める」と伝えた。
これに先立って米商務省は年明け、自国の半導体装備メーカーであるKLA、ラムリサーチ、アプライドマテリアルズの3社にこのような趣旨の措置を取った経緯がある。
米政府は先端コンピューティング半導体チップ、スーパーコンピューター用半導体チップの取引などに対しても輸出制限措置を課す。高性能AI学習用チップ、スーパーコンピューター用特定半導体チップなどが統制対象だ。この規則にはファーウェイ制裁当時に適用された「海外直接生産規則(FDPR)」が適用される。FDPRは、第3国企業が作った製品でも米国の技術などを使用した場合、輸出を禁止する規則だ。
一方、産業省は中国内の半導体工場を置く韓国企業に及ぼす影響は「制限的」と分析した。
産業省は報道参考資料を通じて「韓米両国はこの間、輸出統制当局、外交チャンネルなど多様な経路を通じて緊密な協議を進めた」とし「今回の輸出統制は米国側から事前情報共有があった」と伝えた。
それと共に「この間、両国政府間協議を通じて私たちの立場を十分に伝達し反映するために努力し、この過程で私たちの業界とも緊密に疎通した」と説明した。
産業省は「輸出規制対象である先端コンピューティングチップは国内生産がなく短期的影響はないだろう」とし「スーパーコンピューターに使われる製品の場合にも規制対象になるスーパーコンピューターがごく少数に過ぎず影響は制限的だろう」と見通した。
産業省は、中国で稼動中のSK無錫工場、サムスン西安工場などは、中国企業とは違って事案別検討対象に分類され、装備供給に大きな支障はないと見通した。
参考記事:「先端半導体、中国に売るな」米輸出規制さらに強く…韓国企業も影響あるか
参考記事:米半導体装備、中国輸出規制の最大被害者はサムスン電子・SKハイニックス
参考記事:輸出規制で損をした日本、依然技術が必要な韓国…半導体相互協力に共感