米政府の規制によってアップルがiPhoneに中国メモリ半導体メーカーの製品を搭載しようとする計画を保留したことが分かった。このため、中国企業の挑戦を受けていたサムスン電子、SKハイニックスには好材料になり得るという分析が出ている。韓国メディア「Newsis」が報じた。(サムスン電子&SKhynix)
原文記事:https://newsis.com/view/?id=NISX20221018_0002051648
18日、関連業界と一部の外信によると、アップルは中国メーカーのヤンツメモリテクノロジー(YMTC)が生産したNAND型フラッシュをiPhoneに使おうとした計画を保留した。
アップルは当初、早ければ今年中にYMTCが生産したNAND型フラッシュを搭載したiPhoneを中国市場に販売する計画で、数ヵ月間関連手続きを進めていたという。
しかし、米国政府が対中国半導体輸出統制を強化し、計画修正が避けられなくなったということだ。米政府が指定した輸出統制対象の中国企業31社にはYMTCも含まれた。
アップルはこれまでサムスン電子とSKハイニックス、日本のキオクシアなどで生産したNAND型フラッシュを使ってきたという。しかし、最近、コスト削減やサプライチェーン多角化の次元で、YMTCとの協力を推進していたことが分かった。
現在、NAND型フラッシュ市場はサムスン電子が独歩的な1位を占めており、SKハイニックスがその後を追っている。
市場調査機関のオムディアによると、今年第2四半期のNAND型フラッシュ市場でサムスン電子は33.3%のシェアで1位を維持し、昨年ソリダイムを編入したSKハイニックスは20.4%で2位に上がった。
3位は16.0%の日本キオクシアで、米ウエスタンデジタルとマイクロンがそれぞれ13.0%を記録した。中国のYMTCは3.4%にとどまった。
業界では今回のアップルの決定で韓国企業が一息ついたという分析が出ている。市場比重は低いが、中国政府の絶対的支持を背負った中国企業の追撃をかわすことができるようになったということだ。
特に、YMTCの場合、米政府のブラックリスト対象である中国通信会社ファーウェイに半導体を供給し、米国の輸出規定に違反したかどうかについて、米商務省の調査も受けている。
業界関係者は「中国YMTCが技術はサムスン電子、SKハイニックスより劣るが、中国政府の支援に続きアップルとも関係を結ぶことになれば韓国半導体業界に打撃を与えかねないという心配が出てきた」とし「ひとまずそのような憂慮は静めたわけ」と述べた。
価格競争の面でも負担を減らすことになったという分析だ。この関係者は「YMTC製品が主要競争会社より20%程度安いと知られているが、もしアップル供給を通じて定着することになればSKハイニックスなど韓国企業の収益性にも悪影響を及ぼしただろう」と予想した。
一部では半導体産業を巡る米・中対立が長期化し、サムスン電子とSKハイニックスをはじめサムスンディスプレイ、LGディスプレイ、LGイノテックなどの韓国企業が恩恵を受けるという見通しも出ている。
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