韓国国内研究チームが薄い原子層で構成された二次元半導体を光ではんだ付け加工する次世代半導体技術を開発した。韓国メディア「Newsis」が報じた。(写真:科学研究院のキム・ヒョンウ博士=Newsis)
原文記事:https://newsis.com/view/?id=NISX20221021_0002056284
韓国化学研究院のキム・ヒョンウ博士と韓国標準科学研究院のシン・チェホ博士、全北(チョンブク)大学校のキム・テワン教授の共同研究チームが、二次元薄膜半導体の上にレーザー光を放ち、はんだ付けのようにパターニングする加工技術を開発したと20日、明らかにした。
この技術は薄膜半導体損傷なしに数秒以内にリアルタイムで希望するところにパターニングすることができ、応用可能性が非常に高い。
二次元薄膜半導体はグラフェンのように薄い厚さ、透明性、柔軟性などの長所を持ちながらグラフェンとは異なり半導体の性質を帯びており、次世代ディスプレイ、光センサー素子、半導体素子として注目されている。
この半導体を半導体素子などとして活用するためには表面にパターン・回路を作るリアルタイムパターニング加工技術が必要だが、厚さが原子層(断層厚さ~0.62nm)程度で非常に薄く損傷しやすいという限界がある。
既存の半導体加工技術である熱加工、イオン注入、プラズマなどは薄膜表面が損傷する危険があり、希望する位置にパターニングするためには追加費用と工程が必要だ。
今回の共同研究チームは、二次元薄膜半導体の下にインジウムナノ粒子を敷き、半導体物質には影響を与えずにインジウムナノ粒子を溶かすことができる特定強さの光を照射した。これを通じて薄い二次元半導体を光で加工する光加工技術を実現した。
研究チームは「溶けたインジウムナノ粒子はその上の半導体物質を引き寄せて一緒にくっつくようになり、この時半導体表面が凹んで屈曲構造であるパターンが形成される」とし「このようにパターニングされたところは電子の活動エネルギー範囲(バンドギャップ)が変わり物質の特性が部分的に変わる」と説明した。
光はんだ付けで加工された二次元薄膜半導体の表面構造は光と相互作用することができ、次世代光電素子、バイオセンサーなどに活用できる。
特に光の位置や強さ、照射時間などによって表面構造が変わり、希望する性質で多様に加工できる。
今回の研究結果は光科学・材料分野の世界最高水準ジャーナルである「Advanced Optical Materials(Im
Pactfactor:10.05)」に今月9月に掲載された。(論文名:Optical soldering of MoS2 layers for defect structure formation with induced photoluminescence)
研究責任者のキム・ヒョンウ博士は「光はんだ付け技術は入射光を調節してパターニングと物質特性を精密に加工でき、数秒以内にリアルタイム加工できるため応用可能性が非常に高い」とし「この技術を利用して今後柔軟透明ディスプレイ、高感度バイオセンシング技術開発などの研究を遂行する予定」と述べた。
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