アップル供給企業間でも大きく異なる業績…サムスンD「晴れ」LGD「暗雲」

グローバル景気が低迷期に入り、韓国内2大ディスプレイメーカーであるLGディスプレイとサムスンディスプレイの成績表が分かれた。両社ともアップル製品に使われるパネルのうち半分以上を納品しているが、業績は全く違う。両社が主力とする製品群が異なり、格差がさらに広がっているという分析が出ている。韓国メディア「ChosunBiz」が報じた。(写真:大型OLEDと小型OLED=ChosunBiz)
原文記事:https://biz.chosun.com/it-science/ict/2022/10/23/TO2Y2GQJCNCGTGORG7Z5H3HOEA/

23日、金融情報会社のエフアンドガイドによると、LGディスプレイの第3四半期の営業損失は5000億ウォン(約513億円)を超え、2四半期連続赤字を出す見通しだ。業界では少なくとも来年上半期までこのような不振が続くものと見ている。逆にサムスンディスプレイは経済危機の中でも好業績が予測される。証券街はサムスンディスプレイが今年6兆5000億ウォン(約6674億円)に達する営業利益を記録し、歴代最大の業績を出すものと予想した。

悲喜を分けたのは主力製品の違いだ。両社とも業界「大手」アップルへの納品比重が高い。LGディスプレイは液晶表示装置(LCD)パネルをアップルパソコンモニター(アイマック)とノートパソコン(マックブック)、タブレット(アイパッド)に供給している。現在アップルはすべてのノートパソコンにLCDパネルを使っているが、市場調査会社のオムディアによると、このうちLGディスプレイのシェアは55%に達する。アイパッドもLGディスプレイが供給するLCD比重が約38%に達するものと推定される。サムスンディスプレイはiPhone向け有機発光ダイオード(OLED)物量が圧倒的だ。最近発売されたiPhone14シリーズにサムスンディスプレイOLEDパネルが装着された物量は82%に達し、高級型であるプロモデルは大部分サムスンディスプレイパネルだ。すなわち、同じアップルでもLGディスプレイはLCDに、サムスンディスプレイはOLEDに集中するわけだ。

現在、LGディスプレイ全体売上の65%がLCDから出ているが、収益性に大きな影響を及ぼすLCD価格はCOVID-19特需が終了した時点で中国発低価格攻勢と供給過剰が相まって大きく落ちた。市場調査会社のディスプレイサプライチェーンコンサルタント(DSCC)は「LCDテレビパネル価格が今年8月に最低点を記録した」とし「大部分のLCDパネル価格は原価より低くなり、第4四半期にもL字型沈滞が続くだろう」と分析した。市場に供給されたLCDは多いが、消費は鈍化したため、現在LCDパネルは売れば売るほど損害を被る。LGディスプレイはアップル供給網では市場支配的な地位を持っているが、あまりにも販売価格が低いため収益性を上げるには限界がある状況だ。一方、今年6月にLCD事業から完全に撤退したサムスンディスプレイはLCD市場の変化から100%自由な状態だ。

サムスンディスプレイは中小型OLEDに集中している。2000年からモバイル向けOLEDを準備しているサムスンディスプレイは、世界でプレミアムスマートフォンを最も多く販売しているサムスン電子とアップルをいずれも顧客会社に置いている。特にアップルの場合、現在すべてのスマートフォン(iPhone)のディスプレイをOLEDに転換した状態だ。LGディスプレイもアップルにアップルウォッチとiPhone用OLEDを供給中だが、サムスンディスプレイの立地があまりにも大きい。

LGディスプレイはテレビ向け大型OLEDパネルで強気を見せている。特に、全世界のテレビ向けOLEDパネルの90%以上を引き受けている。 ただ、テレビ向け大型OLEDはモバイル用中小型OLEDに比べて市場採用率が低い。全世界のスマートフォンパネルのうちOLED比率は50%前後である反面、全体テレビ出荷量でOLEDテレビが占める割合は4%台に過ぎない。LGディスプレイからパネルを供給されるテレビメーカーはLG電子とソニーをはじめ約20社に達するが、全体市場規模が大きくないため投資対比収益が十分ではない。

業界はテレビ向けOLED市場が大きくなるためには、より多くのメーカーをはじめ、1位の企業であるサムスン電子が参入しなければならないと見ている。しかし、サムスン電子は現在、OLEDテレビに大きな魅力を感じていない状態だ。パネル価格がLCDに比べて高すぎるためだ。サムスンディスプレイがテレビ向け大型量子ドット(QD)-OLEDパネルを生産しサムスン電子と日本ソニーに供給中だが、数量が制限的でサムスン電子の年間目標を合わせることができない。サムスン電子はOLEDパネル需給のためにLGディスプレイとも交渉を行ったが、供給価格で異見が大きく交渉は中断された状態だ。LGディスプレイとしては収益性を一気に高める機会を逃したわけだ。弱り目にたたり目で、さらにテレビ需要まで鈍化した。市場調査会社のトレンドフォースは、今年のOLEDテレビ販売量が2013年の初発売以来、初めて後退するものと予想した。

業界関係者は「全体ディスプレイ市場が次第にLCDからOLEDに重心を変えていく過程で相対的にサイズが小さいOLEDは転換が早い方だ」とし「小型OLEDを10年余り前から攻略したサムスンは業績が良い反面、この流れに乗れなかったLGディスプレイは依然としてLCD業況に影響を大きく受けるほかはない構造だ」と述べた。彼は「LGディスプレイが遅ればせながら中小型OLED開発に拍車をかけているが、技術力とノウハウなどでサムスンディスプレイについていくのは事実上力不足の状況だ」と述べた。

LGディスプレイは、テレビ向けLCDパネル事業を来年まで縮小し、モニターやノート型パソコンなどの情報技術(IT)向けLCDやOLED製品の開発に集中する計画だ。ただ、業界は四半期連続赤字を出している状況で、大規模な投資を断行できるか疑問を示している。イーベスト投資証券のナム・テジョン研究員は「LCDパネル価格下落に続きテレビ向けOLEDディスプレイ販売が期待値を下回っているが、この基調が急激に変化することは難しいと見られる」とし「LGディスプレイの財務状態に留意する必要がある」と述べた。

参考記事:LGディスプレイ、LTPO OLED液晶パネル最終段階に突入… アップルへ供給か
参考記事:サムスン・LGディスプレイ各社、OLEDの2Q出荷量減少…IT向け成長加速の勢い
参考記事:サムスン・LGディスプレイ各社、大型投資保留しIT・車両用OLEDに集中へ

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