サムスン電子とSKハイニックスが半導体工程の必須素材であるゼノンとネオンガスの国産化にエンジンをかけた。ロシア・ウクライナ戦争の長期化と米中対立の深化などに緊張感が高まり、グローバルサプライチェーンリスクを最小化するために必須素材の内製化に速度を上げているという分析だ。韓国メディア「時事ジャーナル」が報じた。(写真:サムスン電子とSKハイニックス)
原文記事:http://www.sisajournal-e.com/news/articleView.html?idxno=293658
29日、半導体業界によると、サムスン電子は最近ポスコと2024年からゼノンガス供給契約を結んだ。ポスコは来年まで光陽(クァンヤン)製鉄所の空気分離装置からゼノンガス抽出設備技術の開発を推進し、翌年から生産を始める計画だ。
サムスン電子はポスコのゼノンガスを2024年から半導体生産ラインに適用し、2027年まで拡大する。ゼノンガスはNAND型フラッシュなどの先端半導体生産に必須に活用される希少ガスで、現在は全量輸入に依存している。
SKハイニックスは協力会社である半導体用ガス製造企業TEMCおよびポスコが国産化に成功したネオンガスを導入し、内製化比重を40%まで高めた。半導体露光工程で使われるネオンガスはウェハーの上に微細回路を描く時に活用されるが、これまで国内企業はネオンガスを海外から持ち込んで使用した。SKハイニックスは2024年までにネオン国産化の割合を100%に拡大する方針だ。
ロシアがウクライナに侵攻して以来、ゼノンとネオンガスの価格は高騰傾向にある。関税庁によると、先月のゼノン輸入価格はトン当たり1344万1400ドル(約191億ウォン、約20億円)で、前年同期(46億ウォン・327万4400ドル、約5億円)比4倍以上上昇した。ネオン価格は241万6900ドル(34億ウォン、約4億円)で、昨年同期比32倍以上急騰した。全世界のゼノンとネオンガスの半分以上はウクライナで生産されるが、戦争勃発以後需給が不安定になり価格が暴騰した。
このため、サムスン電子とSKハイニックスは核心素材の国産化を通じたサプライチェーンの多角化を図っている。米中対立も内製化の重要性を高める要因と評価される。最近、米政府が先端半導体装備の対中輸出を事実上禁止し、現地に生産工場を置いている両社の事業不確実性が高まった。
半導体業界の関係者は「不安定な国際情勢の中でも素材・部品・装備を安定的に調達するためには国産化比重を高める作業が必要だ」とし「米国の半導体装備輸出統制措置以後、SKハイニックスは装備内製化に積極的に乗り出している。これを後押しできるよう政府レベルの支援も必要だろう」と述べた。
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