ハンファソリューションが昨年にOLED(有機発光ダイオード)素材市場への進出を公式化した中で、核心技術国産化推進にエンジンをかける。これに先立ち、会社側はOLEDパネル製造の必須素材であるFMM(ファインメタルマスク)の関連技術を持っている「WOS」を買収、生産工場設立を通じて電子素材事業をディスプレイ領域に拡大するという戦略を立てた経緯がある。韓国メディア「EBN産業経済」が報じた。
原文記事: https://www.ebn.co.kr/news/view/1553037/
今月1日、忠清南道(チュンチョンナムド)および関連業界によると、ハンファソリューションは約2017億ウォン(約210億円)を投資し、牙山(アサン)のタンジョンテクノ一般産業団地内の4万5766㎡の敷地にOLEDパネル製造に使われるFMM生産工場を建設する。
工場の竣工時点は2023年12月が目標で、生産初期物量から順次にサムスンディスプレイとLGディスプレイに供給する予定だと知られた。
該当素材はOLEDディスプレイ製造工程中にサブピクセルに赤・緑・青などの3色を蒸着するのに使われる。現在、FMMはOLED蒸着工程の核心素材として市場規模だけで年間1兆ウォン(約1042億円)に達すると知られている。しかし、日本のDNP(ダイ日本プリンティング)がこの市場を独占、国産化が急がれる状況だ。
日本政府が2019年から主要部品・素材の韓国輸出規制に乗り出した以後、国内ディスプレイ業界ではFMMを早期に国産化しなければならないという指摘が提起されてきた。
これに対しハンファソリューションはモバイル電子素材事業を進めながら蓄積した生産力量を活用し、DNPが90%独占中のFMMを開発し国産化を成し遂げるのに総力を傾けるという腹案だ。特に高画質・大画面FMMの国産化を通じてグローバルパネル社と戦略的協約を結び量産ロードマップを出すものと予想される。
忠清南道庁の関係者は「FMMの円滑な供給はまもなくOLED市場成長の触媒剤になるだろう」とし「地域社会の持続可能な発展のために家族親和的な企業文化造成、地域人材優先採用などのためにも努力することにした」と述べた。
ハンファソリューションは昨年7月、理事会を開きOLEDパネル製造の核心素材であるFMM関連技術を保有したWOSの持分100%を600億ウォン(約63億円)で買収することに決めた経緯がある。今回の忠清南道内のFMM工場建設は、量産体制構築に続く追加投資に該当する。
WOSが保有しているFMM技術は、現在市場を独占している日本企業に比べ、超高画質画面の実現に有利だという評価を受けている。日本企業は金属板に化学物質をこぼしてパターンを出すエッチング方式を活用する反面、WOSは金属性溶液に電気を流してパターンを描く電気鋳造メッキ(Electro-forming)方式を利用するためだ。
一方、市場調査機関のUBIリサーチによると、FMM市場はOLEDを採用したスマートフォン、タブレット、スマートウォッチなどの販売増加で年平均10%ずつ成長している。特に最近、グローバル情報技術(IT)企業が自社製品にOLEDパネルの採用を増やし、今後FMM市場がさらに急速に成長するだろうという分析も出ている。
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