主要ディスプレイ素材であるOLED(有機発光ダイオード)発光材料市場の成長傾向が続くだろうという見通しが出てきて、サムスンディスプレイの「青色燐光」素材確保戦に業界の関心が集まる。世界1位のOLED素材メーカーである米国UDC(ユニバーサルディスプレイコーポレーション)が2024年に青色燐光素材を商用化すると公言した状況だ。同年に発表されるアップル「プロ」シリーズに搭載される可能性があるという観測が出ている中で、サムスンがどれほど早く追随できるかが注目される。韓国メディア「アジア経済」が報じた。(写真=サムスンQDディスプレイ=聯合ニュース)
原文記事: https://view.asiae.co.kr/article/2022120210430088353
5日、市場調査会社のユービーリサーチは5年後の2027年、OLED発光材料市場が現在の18億1860万ドル(約2兆4000億ウォン、約2443億円)から27億4600万ドル(約3兆6000億ウォン、約3689億円)規模に成長するものと見ている。年平均成長率8.6%ずつ大きくなるということだ。OLEDの短い寿命が問題になりうるが、「大勢素材」としての地位を継続的に維持すると見ている。
この調査で注目すべき点はOLED蒸着方式別に見た時、2027年に「赤・緑・青(RGB)」OLEDが69.1%で圧倒的なシェアを占めると見た事実だ。OLED発光は燐光と蛍光方式で進行されるが、赤色、緑色とは異なり青色燐光は寿命が短く青色だけ蛍光方式で光を出す。約25%の内部発光効率を出す蛍光方式とは異なり、燐光方式は理論的に100%まで上げることができると知られている。寿命の場合、燐光物質が蛍光物質の10倍ほどになると伝えられている。
OLED素材が入るアップル、サムスン、LGなど主要セット(完成品)企業のテレビ、モバイル、タブレットなどIT機器のフォームファクタがあまりにも頻繁に、急激に変わるだけにディスプレイパネルの「自主発光」水準と寿命などが支えなければならない状況だ。「青色燐光」技術に対する注目度が高くならざるを得ない。2010年代初めからUDCをはじめ、日本の出光興産、ドイツのBASFなどの企業が2010年代半ば頃に商用化することを目標に開発を試みたが、約10年が過ぎた今も商用化のニュースが出ていないほど難しい技術だという評価だ。
主要セット企業であるアップルが上級製品に青色燐光OLEDを採用する具体的な時点を「2024年」と明らかにし、ディスプレイメーカー各社の技術開発速度に視線が集まる。グローバル市場調査会社のディスプレイサプライチェーンコンサルタント(DSCC)はアップルが2024年「プロ」シリーズにこの素材を入れようとしていると見ている。部品メーカーとしてはアップルの注文を獲得するために商用化の速度を上げるのに死活をかけるしかない。ちょうどUDCが今年初め「2024年商用化」と釘を刺したため「アップル-UDC」青色燐光受注観測が出てくるのだ。
サムスンディスプレイの場合、RGBのうち青色を独自発光するOLEDを光源に使い、その上に赤色と緑色をつけるQDディスプレイ体制であるため、青色燐光技術の開発に熱を上げている。ただしモバイル、タブレットのような中小型ディスプレイにも燐光技術が使われる可能性があるため「ホワイト(W)」素子を発光源とするLGディスプレイもRGB研究開発(研究・開発)を持続推進中だと伝えられた。
サムスンディスプレイは9月、ドイツの材料メーカー「サイノラ」が開発した熱活性化遅延蛍光(TADF)特許技術を買収し、青色材料開発の力量を高めていると明らかにした。業界関係者は「ディスプレイ素材で最も重要な部分は寿命だが、燐光発光の場合、寿命が画期的に延びることができ、特に青色光源を使うサムスンディスプレイが青色燐光開発に積極的だろう」とし「商用化時点がいつなのか予断することは難しい」と述べた。
LGディスプレイの場合、スマートフォン、車両用などの中小型OLEDパネルにRGB OLED素材を採用している。米国はもちろん、中国との素材競争が激しい状況だという。業界関係者は「LGディスプレイもTADFなど燐光素材の研究・開発に拍車をかけていると聞いている」と述べた。
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