サムスン電子のファウンドリ(半導体委託生産)売上が第3四半期に停滞し、世界1位メーカーである台湾TSMCとのシェア格差が広がったことが分かった。韓国メディア「Newsis」が報じた。(写真:トレンドフォース)
原文記事: https://newsis.com/view/?id=NISX20221209_0002117404
9日、台湾の市場調査会社トレンドフォースによると、サムスン電子の今年第3四半期のファウンドリ売上は55億84000万ドル(約7591億円)で、前四半期の55億8800万ドル(約7596億円)に比べて0.1%減少した。
サムスン電子は売上基準で市場2位の座を守ったが、シェアは第2四半期16.4%から第3四半期15.5%へと0.9%ポイント減少した。グローバルファウンドリ上位5社の中で売上が減少したのはサムスン電子が唯一だ。
また、昨年第4四半期の18.3%に比べ、シェアが2.8%ポイント減少した。トレンドフォースの調査でサムスン電子の市場シェアが15%台に落ちたのは、2020年第1四半期(15.9%)以来2年6ヵ月ぶりのことだ。
一方、TSMCは同期間、大幅な売上成長を収め、サムスン電子との格差をさらに広げた。
TSMCの第3四半期の売上は201億6399万ドル(約2兆7410億円)を記録し、前期181億4500万ドル(約2兆4665億円)に比べて11.1%増加した。市場シェアも第2四半期53.4%から第3四半期56.1%へと2.7%ポイント増えた。TSMCとサムスン電子のシェア格差は、第3四半期に40.6%ポイントまで広がった。
トレンドフォースは「TSMC売上成長が主に7nm(ナノメートル・10億分の1m)以下で発生している」として超微細工程競争で依然としてTSMCが優位にあることを示唆した。現在、7ナノ以下のファウンドリ工程を運営しているのはTSMCとサムスン電子だけだ。
TSMCによると、同社が第3四半期に明らかにした工程別売上比重は5ナノが28%で、7ナノ(26%)を越えた状態だ。顧客数は535社に上る。
一方のサムスンファウンドリは昨年、5ナノ以下の工程で歩留まり(欠陥のない合格品の割合)論議に苦しんだ経緯がある。しかし、サムスン電子はファウンドリ全体市場シェア面で遅れを取っているにもかかわらず、今年6月末TSMCより先に3ナノ量産に入り、超微細工程導入競争では一歩リードしている状態だ。サムスン電子の顧客数は昨年基準で100社水準で、2026年までに300社以上に増やす計画だ。
他方では急激な景気萎縮でメモリなど半導体市場全般に需要鈍化が現れているが、ファウンドリ産業はまだ成長傾向を続けている。
今年第3四半期のファウンドリ上位10社の合算売上は352億500万ドル(約4兆7856億円)と集計された。これは前四半期の332億1300万ドル(約4兆5138億円)に比べて6.0%成長した規模だ。ファウンドリ市場の売上の97%を占める上位10社の売上は2年間伸びている。
ただしトレンドフォースは「下半期のオンシーズン需要が不振な中で在庫切れが予想より遅く進行している」とし「このような状況はファウンドリ注文調整につながっている。第4四半期には売上減少を記録し、この2年間の好況を終えるものと予想される」と明らかにした。
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