DBハイテックが電力を制御する電力半導体技術を高度化し、売上分野を多様に確保することに力を入れている。
特に、電力半導体の一種である複合電圧素子の技術力を育て、自動車電装(電子装備)やデータセンターなどの成長産業で顧客企業を増やすのに拍車をかけるものと見られる。韓国メディア「BUSINESSPOST」が報じた。(写真:DBハイテック チェ副会長、BUSINESSPOST)
原文記事:https://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=301608
25日、電子業界によると、2020年から高い成長を見せていた世界半導体市場が、グローバル景気低迷で来年は悪化するが、特にスマートフォンとパソコン部門でこのような傾向が目立つものとみられる。
市場調査機関のガートナーは2023年の世界半導体売上が5900億ドル(約78兆3753億円)で、今年より3.5%ほど減少するものと予想した。これは今年第3四半期の予測より下方修正されたもので、それだけ半導体業況が急速に冷え込んでいることを意味する。
このような半導体業況悪化の困難を乗り越えるため、DBハイテックは来年、主力分野である電力半導体でモバイル比重を減らし、複合電圧素子工程比重を高めて業況悪化に対応するという方針を立てたものと把握される。
特にDBハイテックは、自動車電装とデータセンター用電力半導体として使われる0.13μmサイズの120V工程複合電圧素子チッププラットフォームを確保している。
複合電圧素子は電圧によって用途が変わるが、自動車電装用には120V工程が主に使われる。
DBハイテックは複合電圧素子分野の主要企業である台湾のヴァンガードに追いつくため、電力消耗最小化技術などを磨き上げ、シェアを高めていく計画を立てた。
これと共に900V複合電圧素子の工程開発も進めているが、この作業が完了すれば産業用に特化したモーター駆動チップ分野までも事業拡大を成し遂げることができるようになる。
DBハイテックがこのように複合電圧素子分野を強化するのは、自動車電装用電力半導体市場は参入障壁が高いだけでなく、市場性が良いためだ。
市場調査機関のICインサイツによると、自動車用電力半導体市場は2021年から2026年に年平均13.4%成長するものと予想される。しかも、半導体市場全体で占める割合も増えている。2021年の7.4%から2026年には9.9%まで増える見通しだ。
さらに、既存の内燃機関車には200~300個の電装用半導体が投入されたとすれば、ハイブリッド車には500~700個、電気自動車は1千個以上のチップが入るため、市場が拡大する公算が大きい。
特にハイブリッド車と電気自動車市場は急速に成長しており、複合電圧素子の他の主要使用先であるデータセンター産業も来年の成長傾向を示すだろうという見方が多い。
DBハイテックは複合電圧素子だけでなく、他の電装用電力半導体の生産も一様に強化していくものと予想される。
電装用電力半導体にはマイクロコントローラユニット(MCU)、エンジンコントロールユニット(ECU)、電力管理チップ(PMIC)、デジタル信号処理装置(DSP)、電装用アプリケーションプロセッサ(AP)などとそれらを補助するドライバー集積回路(IC)など多様な種類がある。
DBハイテックは工程効率化を通じて生産能力拡充作業を終えることにも拍車をかけている。
工程効率化が終わればDBハイテックの生産能力は月13万8千枚から月15万1千枚へと10%ほど増えることになる。
DBハイテックの関係者は「生産能力拡充完了時点を明確に知らせることは難しいが、市場変化に合わせて遅くとも来年上半期中に完了するものと見られる」とし「自動車電装用と産業用電力半導体分野でリードできるよう技術的革新を持続していく」と述べた。
参考記事:DBハイテック、ウェハー設備投資は過去最大…月産15万枚まで拡大見通し
参考記事:DBハイテック、第1四半期に次世代電力半導体開発…独自チップ事業強化へ
参考記事:サムスン電子・TSMC、グローバルファウンドリをめぐる神経戦が激化