スマートフォン市場沈滞の中で「一人成長」を繰り返しているフォルダブルフォン市場が来年も高成長を継続する見通しだ。年基準で50%以上成長し、出荷量2000万台を超えるものと予測される。フォルダブルOLED(有機発光ダイオード)パネル市場をリードしているサムスンディスプレイの恩恵が予想される。フォルダブルスマートフォンの部品原価の中でディスプレイ部門が占める割合は40%前後で高い水準だ。韓国メディア「毎日経済」が報じた。(写真:イジェヨン会長がハノイのスマホ生産工場を視察する様子=サムスン電子)
原文記事:https://news.mt.co.kr/mtview.php?no=2023010112331775399
1日、業界によると、全世界のスマートフォン市場の販売鈍化が長期化する雰囲気だ。インフレ(物価上昇)で消費心理が悪化すると同時に、戦争と景気悪化で製造原価負担まで増えたためだ。市場調査会社のカウンターポイントリサーチによると、昨年、全世界のスマートフォン市場は前年比10.9%減の12億4000万台規模に止まったものと推定される。
スマートフォン市場の不振は少なくとも来年上半期まで持続するだろうというのが業界の衆論だ。スマートフォン交換周期は過去最高水準の43ヵ月に達したものと推算される。業界関係者は「期待を集めた年末消費シーズンも特別な反転なしに過ぎた」とし「当分スマートフォン市場規模がCOVID-19発生以前の水準に急激に回復することは難しいと見られる」と述べた。
しかし、フォルダブルフォンに絞ってみると、話が変わる。カウンターポイントリサーチによると、昨年、全世界のフォルダブルフォン出荷量は前年比63.7%増の1490万台規模を記録したものと推定される。特に第1~第3四半期の累積出荷量は前年対比90%増加した950万台に達したと見られる。今年も見通しが明るい。昨年と比べて52.3%増加した2270万台のフォルダブルフォンが販売されるものと予想される。
プレミアム市場内でしっかりとした立地を構築しているという評価だ。カウンターポイントリサーチのタルン・パタク理事は「全体スマートフォン市場を基準に見れば比重が小さいが、1000ドル(約13万円)以上のプレミアム市場で見ればフォルダブルが定着し始めたということが分かる」とし「この範疇でフォルダブルは昨年に2桁の出荷シェアを達成し、今年は20%以上に上昇すると予想する」と述べた。
最も大きな恩恵者としてはパネル市場の主導権を握っているサムスンディスプレイが挙げられる。サムスンディスプレイは、フォルダブルOLED市場で90%近いシェアで独走体制を構築している。部品原価の中でディスプレイ部門の比重は最も高い。Galaxy Z Fold3 256GB(ギガバイト)製品基準でディスプレイの原価は全体の40%程度を占めていると伝えられている。
フォルダブルの人気が持続するものと予想され、サムスンディスプレイの追加投資が予想される。サムスンディスプレイはパネルを作る前工程での生産運営最適化、画面が駆動されるように組み立てる後工程でのライン増設を通じて需要に対応してきている。
最近、サムスン電子のイ・ジェヨン会長のベトナム出張でスマートフォン関連協力会社を越えた投資が検討された可能性が提起されている。出張には電子系列会社を総括するサムスン電子のチョン・ヒョンホ 事業支援TF(タスクフォース)長、サムスン電子のノ・テムンMX(モバイル経験)事業部長社長、サムスンディスプレイのチェ・ジュソン代表取締役社長が同行した。
ベトナムはサムスン電子スマートフォンの最大生産国で、全体出荷量の50%以上を担っている。サムスンディスプレイはベトナムでフォルダブルモジュールラインを既存の7つから10つに拡大する増設作業を進めている。増設が完了すればサムスンディスプレイフォルダブルディスプレイ生産能力は既存の月140万~150万台から月200万台に拡大する見通しだ。
参考記事:サムスンディスプレイ、フォルダブルパネルの出荷量増加で「超格差」拡大へ
参考記事:中国スマホ向けOLEDの低価格攻勢に困惑した韓国ディスプレイ…サムスン・LG、フォルダブルに悲喜こもごも
参考記事:「フォルダブル1千万台時代」…サムスンD、中小型OLED「超格差」に弾み