韓国国内最大のシリコン負極材会社であるデジュ(Daewoo)電子材料が増設に乗り出す。2024年末までにシリコン負極材の生産能力を今より5倍増やす。増加する電気自動車(EV)バッテリーの需要に対応するための大規模増設だ。韓国メディア「電子新聞」が報じた。(写真:テジュ電子のシリコン負極材の複合酸化物DMSO)
原文記事: https://www.etnews.com/20230106000058
デジュ電子材料は現在、年産2000トン規模のシリコン負極材複合酸化物(DMSO)生産ラインを来年末までに1万トンに拡大することを決め、投資に着手した。最近公示を通じて明らかにした569億ウォン(約60億円)の他に、今年と来年の追加投資を通じて生産能力を5倍拡大するという計画を立てた。投資規模は計3000億ウォン(約315億円)をはるかに超えるものと予想される。
シリコン負極材は次世代バッテリー素材として注目される製品だ。バッテリー充電容量の拡大と充電効率を高め、電気自動車の充電時間を短縮し、より長く走れるように支援する。
ポルシェ電気自動車のタイカンにシリコン負極材が初商用化され、浮上し始めた。デジュ電子材料がシリコン負極材を、LGエナジーソリューションがバッテリーを作ってタイカンに採用した。
現在商用化されたシリコン負極材はシリコン搭載比重が5%程度だ。バッテリーおよび素材会社は、この割合を引き上げようとしている。シリコン100%の「ピュアシリコン」開発が代表的で、電気自動車バッテリー性能向上と同時に負極材の主原料である黒鉛に代わるためにこのような開発を推進している。天然黒鉛をシリコンに代替すれば、バッテリー価格を下げることができ、資源依存度も改善できるためだ。
デジュ電子材料は2019年からLGエナジーソリューションにシリコン負極材を供給し頭角を現した。シリコン5%負極材を皮切りに、電気自動車バッテリー側の需要が急増し、成長している。2020年1500億ウォン(約157億円)程度だった会社の売上は2021年1900億ウォン(約199億円)台に増え、昨年は2000億ウォン(約210億円)を越えたものと推定される。導電性ペースト中心の事業構造でシリコン負極材が新成長動力として位置づけられている。現代(ヒュンダイ)自動車のアイオニック6にも、デジュのシリコン負極材が採用されたことが分かった。
デジュ電子材料は市場成長に歩調を合わせ、中長期的には2025年2万トン、2027年4万トンへと生産能力を拡大する方針だという。会社関係者は「持続的な投資を計画している」と述べた。本社が位置している始興(シフン)のほか、全羅北道(チョルラブクド)セマングム産業団地にも新規工場を準備している。セマングム工場は今年に着工する予定だ。
シリコン負極材の成長可能性にこの分野への進出と投資を拡大する企業が増えている。SK(株)マテリアルズ系列シリコン負極材メーカーであるSKマテリアルズグループ14は第1工場を稼動する前に最近第2工場投資を始め、ポスコケミカルとハンソルケミカルもシリコン負極材事業に出師の表を伝えた。
シリコンは黒鉛代替材として注目されているが、リチウムイオンと会えば体積が4倍以上膨張する問題があり、これを解決できるかが技術力の差と考えられる。
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