グローバルサプライチェーンの不安現象で、昨年に高い水準が続いていた原材料価格が、今年は急激な下落傾向を見せている。これに対し、特定鉱物価格の影響を受けるバッテリーメーカーは、原材料価格の推移を注意深く見守っている。韓国メディア「グッドモーニング経済」が報じた。(写真:SKイノベーション)
原文記事:http://www.goodkyung.com/news/articleView.html?idxno=198017
一度下り坂に乗った原材料価格は下方安定傾向を見せるという観測に重きが置かれる。ただ、中国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大傾向、ロシア-ウクライナ戦争長期化などの変化要因が多く、騰落幅が大きい可能性も排除できないという分析が出ている。
16日、韓国資源情報サービス(KOMIS)によると、ニッケル価格は新年初取引日(3日)基準で、英ロンドン金属取引所(LME)でトン当たり3万1200ドル(約400万円)まで値上がりした。その後、急激な下落傾向を見せ、13日基準でトン当たり2万6475ドル(約339万円)まで下がった。コバルト価格も新年に入ってトン当たり5万1500ドル(約659万円)から4万8570ドル(約621万円)まで下落した。
これはニッケル、コバルト含有量が多いNCM(ニッケル・コバルト・マンガン)製品を主に生産する韓国国内バッテリー製造メーカーに朗報だ。バッテリー3社(LGエナジーソリューション・SKオン・サムスンSDI)はニッケル含量が90%を越える「ハイニッケルバッテリー」を主力製品として生産するためニッケルとコバルト、マンガン価格はこれら企業の業績に相当な影響を及ぼす。原材料価格が下落すれば、メーカーの立場では原価に対する負担が大幅に低くなる。
ただ、電気自動車用バッテリー市場で正面勝負を繰り広げている中国のリチウムリン酸鉄(LFP)バッテリーもリチウム価格の下落で製品の価格競争力がさらに高まった。今年初めの炭酸リチウム価格は3日基準で1㎏当り474.5元(約9024円)から12日基準で449.5元(約8549円)に下落した。LFPバッテリーは三元系バッテリーに比べて安い価格で、世界最大規模の北米市場で好評を得ている。韓国国内バッテリーメーカーの立場では、LFP製品の躍進を警戒せざるを得ない状況だ。
あるバッテリーメーカーの関係者は「原材料価格と連動した価格を締結している」と述べた。揺れ動く原材料価格に影響を最小限に減らすために「価格連動制」で対応しているという説明だ。
原材料価格の下落は、核心鉱物に対する輸入依存度の高い韓国国内バッテリーメーカーに肯定的に作用する可能性がある。
昨年12月に発表された大韓商工会議所の報告書によると、韓国はバッテリー製造に欠かせない鉱物8大品目のうち、酸化コバルト・水酸化コバルト(83.3%)、硫酸マンガン・硫酸コバルト(77.6%)、酸化リチウム・水酸化リチウム(81.2%)、炭酸リチウム(89.3%)、硫酸ニッケル(59%)の5品目で特定国への依存度1位を占めた。核心鉱物8品目のうち、炭酸リチウム(チリ)と硫酸ニッケル(フィンランド)を除いた6品目を中国に最も多く依存している。
しかし、原材料市場が再び揺れ動く可能性も残っている。中国のゼロコロナ政策廃棄による新型コロナウイルス再拡大の可否、ロシア-ウクライナ事態の長期化などだ。
韓国貿易協会は報告書で「バッテリー・半導体など主要産業を中心に鉱物の需要およびサプライチェーンに対する綿密な分析を施行し汎政府コントロールタワーを設立し中長期国家鉱物戦略を樹立しなければならない」とし「鉱物不足に対する根本的解決策用意のために韓国国内の核心鉱物生態系育成、リサイクルを通じた廃資源活用方案の講じ、代替・低減技術に対する研究開発(R&D)拡大を急ぐ一方、自主生産力量を育て海外依存度を下げる努力も必要だ」と強調した。
一方、鉄鋼・建設会社業況に影響を及ぼす鉄鋼・銅・タングステンなどの産業原材料は長期的に下落傾向が予測され、関連業界に息抜きをすると予測される。KOMISの中期価格予測によると、これら原材料価格は昨年ピークに達し、来年まで緩やかな下落が予想される。
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