グローバル完成車メーカー各社がEV(電気自動車)の大衆化に向け、エントリー(小型)級の電気自動車の開発に乗り出し、低価格バッテリー市場での戦いが繰り広げられている。代表的な低価格バッテリーのリチウムリン酸鉄(LFP)バッテリーを前面に出して攻撃的な受注に乗り出した中国企業に対抗し、韓国企業は「ハイ(high)マンガンバッテリー」で競争力を確保するという戦略を立てた。韓国メディア「dailian」が報じた。(写真:2025年までに発売されるGMの電気自動車)
原文記事:https://www.dailian.co.kr/news/view/1194792/
25日、業界によると、LGエナジーソリューションとサムスンSDIは低価格の軽型・小型電気自動車に搭載されるハイマンガンバッテリーを開発している。
これは中国のLFPバッテリーに対抗するために開発されている。従来、国内バッテリーメーカーが力を入れていたハイニッケル中心のハイエンド電気自動車市場だけを狙っては、立地を固めるのに限界があるからだ。
それもそのはずで、最近の電気自動車市場はプレミアム車両と中低価格車両に二分化している。グローバル完成車メーカーが中低価格の電気自動車ラインナップを立ち上げ、中低価格ラインのバッテリー物量の大部分を中国メーカーが占有している。
中国のLFPバッテリーはエネルギー効率が劣るが、簡単な製作法で大量生産が可能で価格が安い。価格が高い原材料であるニッケルとコバルトが全く含まれていないためだ。国内企業の三元系バッテリー対比20~30%安いと推定される。このLFPバッテリーを中心に、中国バッテリー企業は外形拡大に乗り出している。
しかし、性能が良くないのは事実であるため、国内企業は同じLFPバッテリーに対抗する代わりに、新しい中低価格用バッテリーを開発している。ハイマンガンあるいは「マンガンリッチ(rich)」と呼ばれるバッテリーで、高価なコバルトとニッケルの代わりに含まれたマンガンの比率が高い製品だ。
具体的には現在、ハイニッケルバッテリーからニッケル含有量を60~70%減らし、コバルトを抜き、価格競争力と構造的安定性を改善することができる。
また、LFPバッテリーより価格は高いが、エネルギー密度ははるかに良いため、長い走行距離の確保が可能だ。
ただしコバルトが抜けて出力・抵抗特性劣位、三元系バッテリー対比出力と長期寿命で不利になる可能性があり、まだ研究・開発がさらに必要な段階だ。
LGエナジーソリューションの親会社であるLG化学は、まず来年にマンガンリッチに入る正極材を市場に披露する計画だ。このため、現在マンガンリッチ正極材を開発中だ。
サムスンSDIもハイマンガン電池の開発に着手した。価格はLFPバッテリー程度で合わせるのは難しそうだとしながらも、性能は確実に補完されると自信を示した。
SKオンは「コバルトフリー(Co-Free)」という製品で対応する。これも高価なコバルトの代わりにニッケルやマンガンの割合を高めた製品だ。早ければ2024年、遅くても2025年にはコバルトフリーバッテリーを披露する方針だ。
業界関係者は「バッテリーが正確に完成し量産を始めたわけではないので具体的な価格はまだ分からない」とし「現在、中低価格バッテリー量産を目標に開発している」と述べた。
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