サムスン電機が今年、資本的投資(CAPEX)を前年比縮小する方針だ。パッケージソリューション事業部(半導体基板)投資規模は昨年の水準を維持するが、コンポーネント事業部(手動素子)と光学ソリューション事業部(カメラ・通信モジュール)投資規模は減らすと明らかにした。韓国メディア「DealSite」が報じた。
原文記事:https://dealsite.co.kr/articles/97872
相対的に景気敏感度の高いIT用部品依存度を下げるというのが投資の方向性だ。昨年、サムスン電機は電装用部品の売上でスマートフォン、パソコンなどIT用部品の不振を補った。これに対し今年は電装・サーバ・クラウド・人工知能(AI)などの高成長高付加価値事業を中心に投資を執行し、新しい収益源の創出に努める計画だ。
サムスン電機は1月25日に行われた2022年度第4四半期カンファレンスコールで「今年の全社投資規模は主要前方産業の需要鈍化の影響で前年対比減る見通し」とし「高付加価値半導体基板はグローバル顧客の供給拡大要請により昨年と似た水準の投資を継続する計画」と明らかにした。
連結財務諸表基準でサムスン電機の昨年第4四半期の売上(1兆9684億ウォン、約2081億円)と営業利益(1012億ウォン、約107億円)は前年同期比それぞれ19%、68%減少した。IT向け積層セラミックキャパシタ(MLCC)の供給が低迷し、サムスン電機の主力部門であるコンポーネント事業部の第4四半期の売上は前年同期比29%減少した。同期間、光学ソリューション事業部の売上も季節的要因によって16%減少した。それさえも電装用MLCC、カメラモジュールの売上が一定部分防御した結果だ。
第1四半期の業績も容易ではない見通しだ。サムスン電機は新規フラッグシップスマートフォン発売効果にもIT向け部品供給が劣勢を見せるものと予想した。景気低迷がいつまで続くか不透明なだけに、セット企業の需要回復も容易ではないと予想した。
これに伴い、サーバ、電装などの高付加高性能部品を中心に取引先を増やし業況不振を打開するという戦略だ。主力投資先であるパッケージソリューション事業部投資は「フリップチップボールグレードアレイ(FC-BGA)」を中心に執行する可能性が高い。FC-BGAはCPU(中央処理装置)、GPU(グラフィック処理装置)などの半導体チップとメイン基板を連結して電気的信号と電力を伝達する部品だ。ネットワーク、自動車など高密度回路接続を要求する高性能半導体に主に使われる。
昨年、サムスン電機はFC-BGA生産のため、ベトナムと釜山(プサン)の生産基地に計1兆6000億ウォンを投入するという歴代級の投資計画を発表した。その後、昨年11月、国内で初めてサーバ用FC-BGAの量産を開始した。市場と疎通してFC-BGAなど次世代高付加価値製品生産能力(CAPA)を増設中であるため、関連投資縮小は考慮していないという立場だ。
MLCCとカメラモジュール部門も電装製品群を中心に強化していく方針だ。未来モビリティトレンドは自律走行電気自動車から大きく抜け出すことはできないという判断からだ。電気自動車は内燃機関と比べて30%以上のMLCC部品が必要だ。レベル2以上の先進運転支援装置(ADAS)機能を搭載した車両の普及も前年比20%増えるものと予想した。電装用MLCCの需要は増え続けるしかないという。
サムスン電機は「電装用MLCC工程の高度化によりインフォテインメント(IVI)、ADASをはじめ高温、高圧に耐えられるパワートレイン用商品群も引き続き拡大していく」とし「成長性の高いグローバル電気自動車(EV)、欧州部品供給会社(Tier-1)などの取引先を確保し、売上成長を図る」と述べた。
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