半導体業況悪化でグローバル半導体企業の2023年の見通しが暗い中、業績発表を控えたサムスン電子が減産カードを取り出すか関心が集まる。韓国メディア「BLOTER」が報じた。(写真:サムスン電子12ナノ級DDR5 DRAM)
原文記事:https://www.bloter.net/newsView/blt202301270013
サムスン電子は1月31日、業績発表カンファレンスコールを開き、2022年第4四半期業績と年間業績を公開する予定だ。この日のカンファレンスコールでサムスン電子のCAPEX(設備投資)計画と半導体減産可否について公式的な立場が出るものと見られる。
最近、グローバル景気低迷によってIT(情報技術)機器の需要が鈍化し、前方産業が困難に直面している。このため、IT機器に使われる半導体、部品、素材など企業も厳しい経営環境を続けている。
半導体業況の悪化は2022年下半期から兆しが現れた。2022年第2四半期に9兆9800億ウォン(約1兆305億円)だったサムスン電子の営業利益は、第3四半期5兆1200億ウォン(約5384億円)へと半分ほど減少した。同期間、SKハイニックスは4兆1926億ウォン(約4409億円)から1兆6556億ウォン(約1741億円)へと60.5%減少した。特にSKハイニックスは2022年第4四半期、11年ぶりに赤字転換するものと推定される。
メモリ半導体市場2位のSKハイニックスと3位のマイクロンはいずれも減産計画を公式化した。マイクロンはウェハー投入を20%縮小すると明らかにし、SKハイニックスも収益性の低い製品を中心に生産量を調整している。メーカーが供給量を調整して半導体在庫調整に乗り出し、価格バランスを取るという意図だ。
ただし市場1位のメーカーであるサムスン電子は「人為的な減産はない」というのが公式的な立場だ。業界1位のサムスン電子が半導体寒波の中で減産を計画しないという点はライバル会社に脅威に作用しかねない。
サムスン電子が減産を計画しない背景としては、高い利益率を基にした自信とメモリ半導体の成長性が挙げられる。
サムスン電子の半導体を担当するDS部門の営業利益率は、2022年第2四半期に35.0%だ。2022年第3四半期には22.2%を記録した。サムスン電子の非メモリ半導体が莫大な投資により相対的に営業利益率が低いことを考慮すれば、実際メモリ半導体の営業利益率はこれより高いものと見られる。同期間、2位のメーカーであるSKハイニックスの営業利益率は30.4%から15.1%に減少した。3位のマイクロンの営業利益率は25.3%から21.5%に減少した。ライバル会社に比べてサムスン電子の収益性が高いわけだ。
サムスン電子は今後、メモリ半導体応用先の多角化による成長性についても注目している。2022年第3四半期業績発表カンファレンスコールで、ハン・ジンマンメモリ事業部戦略マーケティング副社長が人為的減産に対して線を引いたのもこのような脈絡だ。当時、ハン副社長は「2023年にデータセンター増設拡大、新規中央処理装置(CPU)のためのDDR5採用も増えると見る」として「現時点で萎縮したのは事実だが中長期的観点から需要回復に備える必要があると見る」と述べた。
ただ、一部では業況悪化幅が思ったより大きくなり、サムスン電子が減産カードを取り出す可能性もあると見ている。市場ではサムスン電子のDS部門も2023年第1四半期と第2四半期に赤字を記録するものと見込んでいる。もしサムスン電子が減産に参加すれば、半導体アップサイクルをより早く繰り上げることができるという分析だ。
ハナ証券のキム・ロクホ研究員は「サムスン電子の立場ではライバル会社対比良好な収益性と豊富な現金を基盤にダウンサイクルに耐えられる競争力は明らかだ」と指摘した。
続けて同氏は「ただし顧客会社との交渉力を確保するために供給に対する緊張感が必要だと判断する」とし、「皮肉にも半導体業況が予想より良くないためにサムスン電子のCAPEXおよびCAPA(生産能力)運営に対する変化可能性が高くなる状況」と説明した。
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