ポスコケミカルとロッテケミカル、全固体バッテリー負極材開発「順調」

電気自動車市場の拡大で二次電池が浮上している。今の大勢はリチウムイオンバッテリーだ。しかし、究極的には全固体バッテリーの時代が来るという見通しも出ている。韓国メディア「BUSINESSPOST」が報じた。(写真:リチウムbatteryイメージ=istock)
原文記事:https://www.businesspost.co.kr/BP?command=article_view&num=305303

全固体電池の時代には素材の変化も避けられないものと見られる。そのため、注目に値する分野がリチウムメタル負極材だ。

他のバッテリーと同様にリチウムイオンバッテリーも正極と負極、電解液で構成されている。ここに入るいわゆる4大素材が正極材、負極材、電解液、分離膜だ。

特に電解液は有機溶媒で構成された液体電解液が主に使われる。有機溶媒がリチウムの円滑な移動を助けるため、性能面で有利だからだ。

液体電解液でできたバッテリーでは、正極と負極が直接接触しないように分離膜も必要だ。

これまでこのような構成のリチウムイオンバッテリーが市場の大勢となったのは、現在としては最も経済性がありながらも性能が良いためだ。しかし、致命的な弱点もある。

電気自動車やエネルギー貯蔵装置などの普及を拡大するためには、バッテリー性能をさらに改善しなければならない。そのため、バッテリーのエネルギー密度を高めることが重要な課題だが、エネルギー密度が高いほど危険度も高くなる。

データセンターやエネルギー貯蔵装置などの火災事件がたびたび報道されるが、たいてい問題になる部分がまさにバッテリーだ。

火災と爆発が起きる条件を調べれば、まず燃える燃料がなければならない。また、火がつくためには酸素が必要だ。火がつく事件、すなわち点火された時に燃料と酸素が満たされれば火が出て爆発することができるようになる。

リチウムイオンバッテリーで有機溶媒電解液は燃える燃料であるわけだ。そして正極材の酸化物は酸素を供給する。このため、いかなる理由であれ点火が起きれば火災と爆発につながりかねない。

それで、これに対する効果的な代案が燃焼する液体電解液を簡単に燃焼しない固体に変えることだが、これがまさに全固体バッテリーだ。

ひとまず、全固体電池では分離膜が必要なくなり、液体ではないため、液体を取り囲む努力も必要なくなる。セルを構成していた副材料も減ることになる。多くの長所が生じるわけだ。

ところでリチウムメタル負極材はなぜ出てくるのか。

2次電池開発初期から負極材として純粋なリチウムを使ってみようとする研究があった。しかし、純粋リチウム負極材は火災、爆発を起こすデンドライトを形成し、ショートが起きる問題があった。

そうするうちに炭素素材は安定性が高く、リチウムによく反応してエネルギーを貯蔵できるという事実が発見され、今日黒鉛負極材が普遍化した。

ところが、黒鉛をはじめとする炭素負極材は性能が優秀だが、単位質量当たり体積が大きく、そのためバッテリー体積の半分以上を占める問題点がある。

一方、リチウムメタル負極材は黒鉛よりエネルギー密度の側面で競争力が高い。安定性が低く液体電解液を搭載した状況では火災爆発危険が大きくなるが、全固体バッテリーでは危険度が顕著に落ちるので、リチウムメタル負極材こそ容量、出力、寿命、安定性の側面で最も完璧な性能を出せるものと期待されている。

さらに、全固体バッテリーではリチウムメタル負極材を使用してエネルギー密度を高めなければならない必然性がある。

液体電解液は伝導性が良い反面、固体電解液は遠い距離浸透に不利だ。黒鉛のように体積を多く占める負極材よりはリチウムメタルのように体積が小さくエネルギー密度の高い負極材を使って固体電解液の短所を補完する必要があるという話だ。

国内企業の中にはポスコケミカルとロッテケミカルが負極材事業を準備している。

ポスコケミカルは現在、国内で唯一負極材を生産するところでもある。天然黒鉛、人工黒鉛、シリコンなどで多様な製品ラインナップも構成している。さらに、全固体電池用リチウムメタル負極材の開発にも拍車をかけ、未来の収益源まで着実に準備している。

それこそ現在お金になる事業、中期的にお金になる事業、長期的に進むべき道の全てを準備しているわけだ。

ポスコケミカルは内部のエネルギー素材研究所、ポスコホールディングスの未来技術研究院、浦項(ポハン)産業科学研究院とのコラボレーションを通じてリチウムメタル負極材を独自開発しており、2030年の商用化を目標にしている。

これとは別に原料、正極材、負極材などバッテリーと関連して総体的なバリューチェーンを内製化しているという点は、国内企業の中で断然目立つ強みでもある。

ロッテケミカルも今年4月、米スタートアップのソエレクトリックとリチウムメタル負極材および固体電解液開発業務協約を締結し、2025年までに米国現地にギガワット級リチウムメタル負極材生産施設を構築する計画を検討している。

ロッテケミカルはバッテリー産業にやや遅れて参入したが、最近速度を上げてグループ内のバッテリーバリューチェーンを構成している。

現在、負極材市場は中国が掌握している。2021年基準で中国は世界負極材生産量の95%を占めたことが確認された。

バッテリーバリューチェーンでなくてはならない負極材を中国が掌握しているという点は、バッテリー強国としての立地を不安にさせる要因だ。

ゲームチェンジャーになれるリチウムメタル負極材開発が、K-バッテリーの位相のためにも非常に重要なことである理由だ。

参考記事:ロッテケミカル、CES初参加の野心作「発火危険のないバッテリー素材」を披露
参考記事:EVバッテリー業界、銅箔の二強「SKC-ロッテケミカル」が北米市場も狙う
参考記事:ポスコケミカル、電気自動車バッテリー素材バリューチェーンの強化へ

関連記事

特集記事

エレクトロニクス業界リサーチやコンサルティング、コーディネーションのご相談はこちらまで

ランキング

  1. 1

    シャープからサムスンに転職したエンジニアが語る「サムスンが優秀な理由」

  2. 2

    スマホ世界一のサムスン電子が日本市場で苦戦中、iPhoneとは対照的

  3. 3

    Galaxy S23 ultraの色やエッジは? 「薄くなって平らになる」

  4. 4

    味の素社が製造するABFの調達懸念で韓国半導体業界は非常事態に…なぜ?

  5. 5

    Galaxy S22の購入者、発熱問題でサムスン電子を相手に集団訴訟を予告

  6. 6

    LCD事業の撤退を急ぐサムスンディスプレイ…今年6月に生産終了へ向け調整

  7. 7

    再びやってきたGalaxyの危機、「バッテリー爆発」Note7の事態を振り返る

  8. 8

    「二つ折り」サムスンの新商品フォルダブルフォン「フレックス」公開

  9. 9

    ウクライナ事態で希少ガス「ネオン」の価格が高騰…ポスコに関心集まる

  10. 10

    サムスン電子、横にもワイドな「ㄱ字型」のフォルダブルフォンを発売へ

TWITTER

「Galaxy Z4 vs iPhone14 vs Mate50」韓米中の戦略スマホがビッグマッチ
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091603/

米EV補助金の中止で暗雲が立ち込める現代自動車グループ、解決策はあるか
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091602/

K-半導体、需要低迷による危機が懸念される中、韓国企業は投資で正面勝負に
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091601/

BOE、昨年米国での出願特許1位・サムスンDは2位…技術覇権争い激化
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091502/

サムスンSDI、独BMWと北米にEVバッテリー工場設立の可能性
#コリアエレクトロニクス
https://korea-elec.jp/post/22091501/

Load More
TOP