「永遠の敵はない」…サムスン・LG、OLEDで拡大した「戦略的コラボ」

OLED(有機発光ダイオード)パネル市場で競争関係だったサムスンとLGが収益性確保のために既存慣行を破り戦略的協業を拡大する姿だ。韓国メディア「BLOTER」が報じた。(写真:LGのノートPC「gram」)
原文記事:https://www.bloter.net/newsView/blt202302100019

11日、業界によると、LG電子は先月24日、初のOLEDディスプレイを搭載したフラッグシップノート型パソコン「グラム」の新製品を発売した。該当ノート型パソコンにはサムスンディスプレイが作ったOLEDパネルが搭載された。

LG電子はこれまでグラムにLGディスプレイのパネルだけを使用してきた。しかし、今回初のOLEDノート型パソコンを発売し、サムスンディスプレイのOLEDパネルを選んだ。LGディスプレイがまだノート型パソコン用中小型OLEDパネル生産ラインがないためだ。現在、ノート型パソコン用OLEDはサムスンディスプレイが事実上独占状態だ。

最近、中小型IT(情報技術)機器にOLEDパネル搭載が拡大する傾向だ。スマートフォンにはすでにOLEDパネルが大衆化され、ノート型パソコン、タブレットに続きゲーム機器にもOLEDパネル搭載が拡大している。OLEDパネルはLCDパネルに比べて画質と性能が良く、収益性が高い。

サムスンディスプレイはスマートフォン、タブレットなどに使われる中小型OLEDパネル市場で、LGディスプレイはテレビに使われる大型OLED市場でそれぞれ1位を占めている。昨年、サムスンディスプレイの世界スマートフォン向けOLED市場シェアは68%(市場調査会社DSCC調査)に達した。LG電子はLGディスプレイから納品されたOLEDパネルを通じて、世界のOLEDテレビ市場シェア60%を占めている。

両社の選択と集中により、昨年のディスプレイ市場では悲喜こもごもになった。先制的にLCD出口戦略に乗り出したサムスンディスプレイは、相対的に収益性が高かった中小型OLEDを中心に、過去最大業績である年間営業利益5兆9500億ウォン(約6155億円)を記録した。一方、LGディスプレイは中国発LCD供給過剰の影響とテレビ市場の不振で年間2兆ウォン(約2069億円)に達する営業損失を記録した。

これを受け、LGディスプレイも自主的にも中小型パネルの拡大を図っている。LGディスプレイは2024年までに3兆3000億ウォン(約3413億円)規模の中小型OLEDライン投資を進めている。LGディスプレイは現在30%水準の中小型売上比重を2024年には50%を越えて70%まで拡大する計画だ。

中小型OLEDパネルの強者であるサムスンは最近、大型OLEDパネルの拡大を図っている。サムスン電子は今月21日からQD(量子ドット)-OLEDパネルが採用されたサムスンOLEDテレビ55型、65型を国内市場に発売する。サムスン電子は2013年にOLEDテレビを発売したが、収益性が劣ると判断して販売を中止し、これまでLCDテレビであるQLEDラインナップを運営してきた。これと共にサムスン電子は先月、米ラスベガスで開かれた「ファーストルック」イベントで77型OLEDテレビの発売も予告した経緯がある。

サムスン電子のOLEDテレビは、サムスンディスプレイで生産したパネルを使用する。サムスンディスプレイは現在、月3万枚水準のQD-OLED生産能力を持っている。2024年までに月4万5000枚に拡大する計画だ。サムスン電子も今年、QD-OLEDテレビの生産量を100万台から130万台水準に引き上げたという。

一部ではサムスン電子が本格的にOLEDテレビ市場に参入し、大型OLEDパネルに競争力を保有したLGディスプレイとの協力が可視化される可能性があるという分析が出ている。足りないサムスンディスプレイのOLEDパネル生産能力をLGディスプレイとの協力を通じて解決できるという説明だ。LGディスプレイの大型OLEDパネルの生産能力は年間1000万台水準だという。

この他にもサムスンディスプレイは最近、LXセミコンと戦略的コラボレーションを通じてLXセミコンが生産するディスプレイ駆動チップ(DDI)を使用することにした。DDIはディスプレイが搭載される製品に必須に使われる半導体だ。サムスンディスプレイがLXセミコンのDDIを使用するのは今回が初めてだ。LXセミコンはLGグループから系列分離されたLXグループの系列会社で、これまでLGディスプレイが最大顧客会社だった。2022年第3四半期の累積売上でLGディスプレイ向の比重は60%だ。

参考記事:中国スマホ向けOLEDの低価格攻勢に困惑した韓国ディスプレイ…サムスン・LG、フォルダブルに悲喜こもごも
参考記事:サムスン・LGディスプレイ各社、OLEDの2Q出荷量減少…IT向け成長加速の勢い
参考記事:
サムスン・LGディスプレイ各社、大型投資保留しIT・車両用OLEDに集中へ

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