サムスン電子がLG電子と再びテレビ市場で対決する。サムスン電子が10年ぶりにOLED(有機発光ダイオード)テレビ市場の再挑戦に乗り出したのだ。ただ、グローバルテレビ市場が沈滞期をむかえた中で中国企業の「低価格攻勢」が激しくなり、市場主導権をもたらすことができるかがカギだ。韓国メディア「ストレートニュース」が報じた。(写真:サムスン電子のQD-OLED)
原文記事:https://www.straightnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=226029
電子業界によると、サムスン電子は3月9日、2023年に新製品を発売し、OLED(77・65・55型)テレビを披露する。これまで最上位プレミアム製品群として前面に掲げたネオQLEDに高価なOLEDラインを追加した。
今回、国内で発売されるサムスンOLEDテレビには、色再現力に優れているという評価を受けているサムスンディスプレイのQD-OLED(量子ドット有機発光ダイオード)ディスプレイが搭載された。ただ、LGディスプレイのW-OLEDと比べて歩留まりが落ち、生産単価が高いことが分かった。
サムスン電子は2013年にOLEDテレビを初めて発売したが、技術問題と市場性などを理由に約2年ぶりに撤退し、以後LCD(液晶表示装置)基盤のQLEDテレビだけに力を入れてきた。
しかし最近、中国が低価格攻勢でLCD市場を掌握し、サムスンディスプレイがLCD事業から撤退し、QLEDテレビパネルは中国・台湾メーカーに依存せざるを得なくなった。これに結局、約10年ぶりにOLED市場に再参入することに戦略を修正したのだ。
大型OLEDパネルへの投資も進められる見通しだ。サムスン電子のイ・ジェヨン会長は今月7日、サムスンディスプレイ牙山(アサン)キャンパスを訪れ、QD-OLEDパネルの生産ラインを直接見て回り、事業戦略を点検したりもした。
業界ではグローバル家電市場の低迷が続くと、サムスン電子もOLEDテレビの放棄を危険だと判断したという分析が出ている。実際、市場調査会社のオムディアによると、今年のOLEDテレビ出荷量は前年比約14%増える見通しだ。
サムスン電子のこのような挑戦に対し、これまでOLEDテレビ市場のオールイン戦略を固守してきたLG電子とLGディスプレイも肯定的な反応を示している。OLEDテレビ市場がさらに拡大する現象が嬉しいという雰囲気だ。昨年末基準でOLEDテレビを発売するブランドは、サムスン電子を含めて21ヵ所に増えたものと集計された。
ただ注視しなければならないのは、グローバルテレビ市場で中国の攻勢が強まっている点だ。サムスンとLGはいずれも中国によってLCD事業を撤退した中、中国TCLがLG電子を追い出し、昨年、世界テレビ販売台数2位に初めて上がった。
オムディアによると、今月9日基準で昨年のテレビ市場シェア(出荷量)はサムスン電子(19.6%)、TCL(11.7%)、LG電子(11.69%)の順だった。TCLとLG電子2・3位間の販売台数の差は2万台余りだったが、4位ハイセンス(10.5%)と5位シャオミ(6.2%)まで加えれば中国3社のシェアが28.4%に達するほど市場掌握速度が速い。
ただ、販売額基準では国内メーカーがまだ強気だ。サムスン電子(29.7%)とLG電子(16.7%)の販売額の割合を加えると46%を超える。3位はTCL(9.4%)だった。中国が低価格商品を主力に販売するため、実質的に販売額自体は低い様子だ。
一方、サムスン電子は2月23日と24日(現地時間)の2日間、ドイツ・フランクフルトで「2023欧州テックセミナー」を開催し、2023年型Neo(ネオ)QLEDやOLEDなどのテレビ新製品を披露する。欧州は全世界のOLEDテレビ販売量の40%ほどを占めているテレビ主力市場であるためだ。
現在、欧州OLEDテレビ市場はLG電子が65%以上のシェアを占めリードしており、サムスン電子との激突が予想される。
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