サムスン電子がウェアラブル(着用型)機器市場拡大のための礎石を固めている。今月初め、グーグル・クアルコムと手を握り拡張現実(XR)機器を開発すると宣言したのに続き、最近はスマートメガネ・スマートリングなどに対する商標権を出願したことが確認された。アップルもXR機器とスマートリングを開発中であることが知られ、両社間の競争がウェアラブル機器に拡大する様子だ。韓国メディア「中央日報」が報じた。(写真:サムスン電子)
原文記事:https://www.joongang.co.kr/article/25143506
2月27日、特許庁と関連業界などによると、サムスン電子は22日と23日、それぞれ「Galaxyグラシス(Glasses)」「Galaxyリング(Ring)」という商標権を出願した。Galaxyグラシスの商標が適用される商品は、仮想現実体験用ヘッドセット、スマートメガネ、拡張現実体験用ヘッドセット、ヘッドホンだ。顔にメガネのようにかけるXR機器で音声サービスが支援される形であるものと見られる。Galaxyリングは健康指標や睡眠状態などを測定する指輪型スマート機器だ。
さらに、アップルが今年にXR機器を発売することが知られ、これまで停滞していたウェアラブル機器市場の競争が再燃したという評価だ。XRは仮想現実(VR)・増強現実(AR)・混合現実(MR)技術を網羅する用語で、これらを加えて作ったXRヘッドセットは現実と仮想の境界を自然に連結してくれる。メタバースを実現するための必須機器にも挙げられる。
米情報技術(IT)メディアと業界などによると、アップルは今年6月予定の開発者カンファレンス(WWDC2023)でXRヘッドセットを公開する予定だ。価格は1台当たり3000ドル(約387万ウォン、約41万円)、名前は「リアリティプロ」という。プラスチック素材で作られ、iPhoneより軽いものと予想される。メタも今年末、次世代XRヘッドセットを披露するという。
サムスンはすでに昨年から「参戦」を予告している。サムスン電子のハン・ジョンヒ副会長は昨年に開かれた世界最大の移動通信展示会である「モバイルワールドコングレス(MWC)2022」で「メタバースプラットフォーム機器を準備している」と述べた。サムスン電子のノ・テムン社長も今月初めニューヨークで開かれた「Galaxy UNPACKED2023」で「(グーグル・クアルコムとのコラボレーションを通じて)次世代XR経験を共に構築することで再びモバイルの未来を変化させている」と明らかにした経緯がある。
スマートリングもXRを一段階高めるアイテムとして早くも注目された。今回サムスン電子が商標出願したGalaxyリングは健康チェックが基本機能だが、指に自由に挟む機器であるだけにスマートフォンやXRヘッドセットなどと連動すれば多様な機能実現が可能だ。アップルも昨年に拡大・縮小や回転のようなジェスチャーを認識し、ペンと共に使えるスマートリング特許技術を出願した経緯がある。
市場調査機関のカウンターポイントリサーチは、2021年基準でXR機器市場は1100万台だったが、2025年には1億500万台と、4年間で10倍近く増えるだろうと見込んだ。NH投資証券のイ・ギュハ研究員は「スマートフォン市場は製品競争力弱化、普及率飽和で成熟期を過ぎた」とし「今はXRが新しい時代を開いていくだろう」と見通した。
サムスン電子関係者はこれと関連して「商標出願が直ちに製品発売につながるわけではない」とし「未来市場に備える次元」と述べた。サムスン電子のキョン・ゲヒョン社長(DX部門長)はこの日、MWS2023で記者たちと会い、XR機器について「(製品の)完成度が上がった時に公開したい」と述べた。
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