サムスン電子、危機の中でも先制投資で「超格差」を維持

サムスン電子は今年、グローバル経済危機の中でも果敢な投資で超格差競争力を維持する方針だ。サムスン電子のイ・ジェヨン会長は昨年から現場経営を続け、支障のない投資履行を通じた未来技術競争力向上と超格差技術確保の重要性を強調している。韓国メディア「MoneyS」が報じた。(写真:サムスン電子 平沢工場)
原文記事:https://moneys.mt.co.kr/news/mwView.php?no=2023032317471461152

サムスン電子が最も力を入れている分野は半導体だ。グローバルメモリ市場で圧倒的な1位を占めているサムスン電子は、非メモリ市場も席巻し、総合半導体1位を達成するという目標で投資を進めている。昨年から始まったグローバル半導体市場の低迷で、グローバル主要半導体企業が投資縮小を断行しているが、サムスン電子は危機を機会と認識し、例年と同じ規模の投資に踏み切る方針だ。

最近サムスン電子は業績発表後に進行されたコンファレンスコールで「昨年下半期から始めた在庫調整が今まで続いており、市況劣勢が直ちに業績には友好的ではないが未来を徹底的に準備するには良い機会だと考える」とし「今年のキャペックス(CAPEX・設備投資)は前年度と似た水準になるだろう」と明らかにした。

サムスン電子は昨年だけで、半導体事業に47兆9000億ウォン(約4兆8164億円)を投資した。年間全体投資金額が53兆1000億ウォン(約5兆3392億円)である点を勘案すれば、投資金の大部分を半導体施設投資に執行したわけだ。サムスン電子は最近、サムスンディスプレイから20兆ウォン(約2兆110億円)を借り入れた。サムスン電子が子会社から大規模借入金を借りたのは異例のことで、支障のない投資を続けるための目的だというのが業界の分析だ。

今年の投資計画には極紫外線(EUV)露光装備差別化持続の他にも下半期に本格化が予想される高性能・高容量メモリ半導体であるDDR5とLPDDR5X市場対応のための先端工程転換が含まれる。

非メモリ分野ではファウンドリ競争力強化のため、現在米テキサス州テーラー市に170億ドル(22兆ウォン、2兆2121億円)を投資し、500万平方メートル規模のファウンドリ工場を建設している。年内完工予定の同工場では、第5世代移動通信(5G)、人工知能(AI)、高性能コンピューティング(HPC)など先端システム半導体製品を生産する計画だ。最近は龍仁(ヨンイン)システム半導体クラスターの構築に300兆ウォン(約30兆1650億円)を投資することにした。

これと共に、ゲートオールアラウンド(GAA)ベースの工程技術革新を続け、2025年には2ナノ、2027年には1.4ナノ工程を導入する計画だ。また、高性能低電力半導体市場を積極的に攻略し、2027年までにモバイルを除いた製品群の売上比重を50%以上に拡大していく計画だ。

イ会長も半導体投資に積極的な意志を示している。昨年から地道に半導体部門の事業現場を行き来しながら役職員を激励し、超格差競争力確保の重要性を強調している。

イ会長は昨年8月、器興(キフン)半導体研究開発(R&D)団地の起工式に参加し「世の中にない技術で未来を作ろう」と超格差技術力確保を注文した。最近もサムスン電子天安(チョナン)キャンパスと温陽(オンヤン)キャンパスを訪ね、次世代パッケージ競争力と研究開発(R&D)、中長期事業戦略などを点検し「難しい状況だが人材養成と未来技術投資に少しも動揺があってはならない」と頼んだ。

通信装備分野への投資にも力を入れている。サムスン電子は最近、米第4移動通信事業者のDCネットワークと5G初期網の開通を完了した。日本でも現地移動通信事業者KDDIの「5G(5世代通信)単独モード(SA)コア」ソリューション供給会社に選定されるなど海外で可視的な成果創出が続いている。

通信技術は、イ会長が目をつけたサムスンの次世代の収益源の一つだ。イ会長は2011年から5G技術研究を専担する「次世代通信研究開発組織」の新設を指示した。続いてサムスン電子が5G時代をリードできる力量を早く育てられるよう研究開発と営業・マーケティングなどの全領域を指揮し直接管理している。

サムスン電子は今後も革新と挑戦を通じて次世代移動通信市場の新しいパラダイムを導いていくという構想だ。特に、5Gに続き、6Gの先取りにも拍車をかける計画だ。イ会長は2021年に青瓦台(チョンワデ)で開かれた企業家懇談会で「通信もワクチンほど重要なインフラとして、通信とワクチンのように先制的に投資してこそ残念な時に有用に使える」とし「6Gも内部的に2019年からチームを置いて準備している」と明らかにした経緯がある。

参考記事:半導体「本格的な冬」が来る…サムスン電子、減産カードを取り出すか
参考記事:「アーニングショック」サムスン電子、半導体戦略の行方は?
参考記事:サムスン電子、今後20年で250兆ウォンを投資…米に半導体工場11ヵ所新設へ

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