現代自動車、電気自動車を中心にアジア市場攻略を加速化

現代(ヒュンダイ)自動車が新興市場として浮上しているインド、タイなどのアセアン市場攻略に速度を上げている。既存の北米と欧州市場はもちろん、新南方(インド+アセアン)市場まで攻略し、市場多角化を図るという戦略だ。韓国メディア「ストレートニュース」が報じた。(写真:現代自動車)
原文記事:https://www.straightnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=227622

現代自動車は最近、インドのゼネラルモーターズ(GM)工場の買収を推進している。1996年にインド市場に進出して以来、他の工場を買収するのは初めてだ。

現代自動車のインド法人は、GMマハラシュトラ州タレガオン工場の買収と関連し、タームシート(主要取引条件書)に署名した。タームシートは、本契約に先立って敷地や建物、生産施設など投資対象の状況を把握する際に作成される。

現代自動車が買収を推進しているGM工場は、2020年10月から稼動中止されたところで、インドメディアによると、運営当時の工場の年間生産規模は自動車13万台、エンジン16万台に達したという。

インドは昨年、自動車総生産台数546万台と世界4位を占め、注目されている。これは前年比24.1%増加した規模で、世界の自動車生産トップ10国のうち、前年比20%以上生産が増加した国はインドが唯一だ。

インドの昨年の内需販売も472万5000台で、前年比25.7%上昇した。これは日本を抜いて中国と米国に次いで世界3位の記録だ。現代自動車の今回の工場買収は、増加するインド市場の需要に耐えるための目的と解釈される。

現在、現代自動車はインドに2つの工場を運営している。1998年に南部チェンナイ第1工場に続き、2008年に第2工場を竣工した。両工場の年間生産規模は約76万台だ。今回の工場買収を終えれば、90万台に近い現地生産能力を確保することになる。

現代自動車は昨年、インドで前年比8.7%増の55万5000台を販売し、今年は前年比7.2%増の計59万5000台を販売する計画だ。該当目標値は欧州(59万3000台)より高い。実際に目標を達成する場合、インド市場は北米、内需に続き現代自動車の3番目の市場として位置づけられることになる。

現代自動車はアセアン地域への攻略にも拍車をかけている。自動車業界ではインドネシアをはじめタイ、マレーシア、フィリピン、ベトナムなどアセアン主要5ヵ国の2025年の自動車販売台数は358万台に達すると予想している。

これを受け、現代自動車はアセアン地域の拠点であるインドネシアはもちろん、韓国企業への影響力が微々たるタイ市場にも進出し、アセアン地域を今年の核心市場にするという戦略だ。日本完成車メーカーのシェアが70%に達するほど強いアセアン市場に挑戦状を突きつけたのだ。

特に日本メーカーが弱い「電気自動車」を長所とし、専用電気自動車の生産を通じてアセアン各国のエコカー転換政策を促進し、シェア拡大を図ろうとする計画だ。

現代自動車は昨年3月、インドネシアにアセアン地域初の完成車生産拠点を構築した。インドネシア工場は現在、年間15万台の生産規模を備えており、今後25万台に規模を拡大する計画だ。

特に現代自動車のインドネシア工場は電気自動車専用基地としてアイオニック5を量産している。インドネシア進出ブランドの中で初の現地生産電気自動車だ。

2021年、現代自動車はインドネシアでアイオニックEVとコナEVを計605台販売し、インドネシア電気自動車市場でシェア87%を占めた。さらにインドネシア政府の電気自動車産業促進政策も現代自動車に好材料だ。

インドネシアは2019年からインドネシアで電気自動車を生産する会社が現地部品と人材を活用して現地化率条件を満たせば輸入関税、贅沢税(15%)免除など多様な特典を提供している。現地化率要件は▲2020~2023年40%、▲2024~2029年60%、▲2030年以後80%などだ。

現代自動車はこのようなインドネシアの電気自動車現地化戦略に応えるため、LGエナジーソリューションとバッテリーセル工場も建設中だ。早ければ今年上半期中に完工する予定であり、来年上半期からバッテリーセルの量産を開始する計画だ。

現代自動車グループのチョン・ウィソン会長がインドネシア公企業部長官に会い、電気自動車の生態系発展と関連して対話を交わしたのもアセアン攻略のためと分析される。

インドネシアのエリック・トーヒル公企業部長官は今月23日、インスタグラムを通じてチョン・ウィソン会長と会い「電気自動車生態系の発展について深く議論した」と言及した。

また、現代自動車は政府の育成政策で電気自動車市場が急速に拡大しているタイ市場にも本格的に進出する。

これまで韓国自動車不毛の地と呼ばれていたタイ現地に「現代モビリティタイランド」という名前でタイ法人を初めて設立し、来月1日から正式に事業活動を開始する。新車発売も予定されている。

現代自動車のタイ法人は車両販売、マーケティング、アフターサービス(AS)などを直接行う予定だ。まず販売に集中するものの、今後の現地生産も検討しているという。

東南アジア最大の自動車生産国であるタイ市場はトヨタとホンダなど日本の完成車メーカーが圧倒的なシェアで掌握している。現代自動車はこれまで現地メーカーに販売を委託する方式だけで販売してきたが、割合が高くない。

しかし、タイ法人を初めて設立しただけに委託販売から抜け出し、直接投資・販売を通じて本格的に攻略する計画だ。

現代自動車はタイ事業の本格的な開始を知らせ、今月22日にタイ・バンコクで開かれた「バンコク国際モーターショー2023」で小型多目的車(MPV)スターゲーザーを披露し、事前契約を開始した。

続いて、第2四半期には小型スポーツ用多目的車(SUV)のクレタを新たに発売する予定だ。イベントで電気自動車アイオニック5、アイオニック6も展示し、タイ電気自動車市場への進出も予告した。現代自動車はタイ政府と電気自動車市場への進出について話し合ったという。

この他にも現代自動車は昨年、ベトナムのニンビン省に第2工場を増設し、今年4月の竣工を目標にシンガポールグローバル革新センター(HMGICS)にスマートファクトリーを建設している。シンガポールのスマートファクトリーではオーダーメード型車種の生産が可能なだけに、高級型車種の生産に注力するという観測も提起されている。

業界関係者は「現代自動車・起亜(キア)自動車がこれまで北米・欧州などの先進市場で事業をうまく営んできたが、最近米国インフレ削減法(IRA)、欧州核心原材料法(CRMA)などの自国中心化が続くと、新市場であるインドとアセアン市場を新しい収益源に選んだものと見られる」とし「電気自動車などのエコカーを中心に日本を押し出してシェアを確保していくのが今年のカギ」と述べた。

参考記事:昨年は米EVが販売急増…IRA、現代自動車に恩恵となる見通し
参考記事:現代自動車グループ「E-GMP基盤」電気自動車の安全性、世界が認めた
参考記事:現代自動車、日本攻略に青信号…「電気自動車の商品性」が輝いた

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