サムスン電子が自社AP(アプリケーションプロセッサー)ブランドである「エクシノス(Exynos)」のラインナップを拡大している。「技術集約体」であるチップセット間のシナジー効果を通じてシステム半導体の競争力を強化するという戦略だ。韓国メディア「News1」が報じた。(写真:exynos=サムスン電子)
原文記事:https://www.news1.kr/articles/4992384
27日、業界によると、サムスン電子はモバイルだけでなく電装(自動車)、通信などに領域をエクシノスを拡大させ、ブランド強化に乗り出している。特にエクシノスモデム、エクシノスオートに続き、最近エクシノスコネクトを追加し「エクシノスユニバース(世界観)」を完成したという評価だ。
業界関係者は「これまでサムスンエクシノスは毎年新しく発売されるGalaxyスマートフォンに対応するのに汲々としてきた。そのため内部でもこれまで事業の根幹を逃してきたのではないかという反省もあっただろう」とし「チップセットはすべての技術力の総合であるだけにポートフォリオ拡大を通じてシステム半導体競争力を育てるものと見られる」と述べた。
サムスン電子システムLSI事業部が担当するエクシノスは2011年、モバイルAPで始まった。2014年に初登場した「エクシノスモデム」はモバイルおよび車両用モデムを指す。以後、2019年に発売した「エクシノスオート」は車両用システムオンチップ(SoC)シリーズだ。
最近新しく披露した「エクシノスコネクト」はUWB(超広帯域)基盤の近距離無線通信半導体だ。今後、サムスンが開発するUWB、ブルートゥース、Wi-Fi製品がエクシノスコネクトという名前で発売される予定だ。
一部ではファウンドリ(半導体委託生産)がシステム半導体の重要分野として浮上しているが、基本的に「設計」力量が核心だという指摘だ。システムLSI事業部はサムスン電子の唯一のファブレス(設計)事業部で、現在9000人水準の人材を1万5000人まで拡大するなど、力量強化を加速している。
半導体生態系は「ファブレス-ファウンドリ-パッケージング(後工程)」で構成される。特にサムスン電子は設計・製造・生産を全て行う総合半導体会社であるだけに、システム半導体1位の座を占めるためにはどれ一つ見逃してはならないという説明だ。
これに先立って2019年、イ・ジェヨン会長は「システム半導体ビジョン2030」を宣言し「メモリ半導体に続きシステム半導体でも確実に1位になる」と明らかにしている。システム半導体分野だけに2030年までに133兆ウォン(約13兆3650億円)を投資し、2021年には既存計画に38兆ウォン(約3兆8209億円)を加えて計171兆ウォン(約17兆1940億円)を投入すると発表した。
一方、グローバル企業も半導体設計に力を入れ、自社ブランドを育てている。アップルのアップルシリコン(バイオニック・Mシリーズ)、クアルコムスナップドラゴン、台湾メディアテックのディメンシティが代表的だ。
特にサムスン電子のエクシノスラインナップ拡大とは別にモバイル用APを巡り企業等の競争が深化するにつれ、高性能・高効率モバイルAP開発に対する要求も持続している。市場調査機関のカウンターポイントリサーチによると、昨年第3四半期のモバイル向けAP市場シェア(出荷量基準)は△メディアテック(35%)、△クアルコム(31%)、△アップル(16%)、△UNISOC(10%)、△サムスン電子(7%)の順だった。
サムスン電子は最近披露した普及型APである「エクシノス1380」をGalaxy Aシリーズなど中低価格モデルに搭載すると知られた。だが、最新フラッグシップスマートフォンであるGalaxy S23シリーズにはエクシノスではなくクアルコムの「スナップドラゴン8第2世代」が全量搭載された。
サムスン電子は次世代モバイル向けエクシノスの発売可能性を残している状況だ。システムLSI事業部はフラッグシップスマートフォンをターゲットに次世代エクシノス開発を進めており、サムスンの3nm(ナノメートル・1nmは10億分の1m)工程で製作される予定だ。2025年に発売するGalaxy S25シリーズから採用される見通しだ。
サムスン電子のパク・ヨンインシステムLSI事業部長は先月、スペインのバルセロナで開かれた世界最大移動通信展示会「モバイルワールドコングレス(MWC2023)」で「Galaxyフラッグシップモデルに搭載されるエクシノス強化方案を準備中か」という質問に「準備している。少し様子を見れば分かるだろう」と答えた。
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