中国と日本のディスプレイ業界において、大型有機発光ダイオード(OLED)の製造工程にインクジェット印刷技術を導入しようとする動きがあるが、まだ技術的に困難でないかという見方が出ている。韓国メディア・時事ジャーナルs(시사저널s)が報じている。
中国と日本のディスプレイ業界がOLEDパネル工程にインクジェット印刷技術を導入するための研究開発を進めている。 中国のパネルメーカーBOEは先月末、北京APECで開かれた協力会社の参加ICP会議で55インチ8K OLEDパネルを公開し、インクジェットプリンティング方式で製作したことを明らかにした。同社は、1年前のイベントにおいてもインクジェットプリンティングで製作されたOLEDパネルを披露したことがある。 今回公開した試作品はOLED材料効率を90%まで引き上げたというのが会社側の説明だ。
ただ、業界の一部では、BOEは技術マーケティングの次元で試作品を出しただけであり、量産は難しいと言いつつ分析が優勢であると、時事ジャーナルは伝えている。 イ・チルウォン壇国大教授は「インクジェット技術の開発にかけた時間は長いようだが、それだけ商用化に障害が多かった」とし「プロトタイプと量産の間には大きな差がある」と説明したという。
インクジェット印刷は、LCDに比べコスト競争力が落ちるOLEDの価格競争力を高める技術として挙げられる。蒸着方式に比べ機器も減り工程も簡単になるからだ。このため、中国BOEはもちろんTCLの子会社であるCSOTも2021年から同じ方式を適用し、TV用大型パネルの量産を開始する計画であると明らかにした。
日本のJOLEDは先月、世界初のインクジェットプリンティング工程を導入した5.5世代OLED工場を完工し、来年から月2万枚規模のパネルの量産を開始すると発表した。 主な製品は、10〜32インチの中型パネルになる見込みだ。 ただし、JOLEDが大型OLED投資を継続する可能性は高くないという業界筋の見方を時事ジャーナルsは伝えている。投資資金も一つのハードルだが、まだ大面積OLEDディスプレイの技術検証が終わってないという指摘もあるようだ。
先述のイ教授は「実際の生産で最も重要なのは、量産性であり、スマートフォン用ディスプレイの場合、3〜4世代の生産規模ではインクジェット印刷技術を適用して作成することもあるが、TV用パネルを作る第8世代以上の大型ディスクでは、技術の導入が難しい」としながら「まだ大面積パネルに均一に溶液を噴射するには技術的難関がある」と説明したという。
ソン・ジュンホ高麗大教授は「スマートフォン用OLEDはサムスンディスプレイ、TVはLGディスプレイが先行していることから、JOLEDとしては差別化のためITの中型パネル市場を攻略したいのではないか」と分析したという。
韓国のディスプレイ業界もインクジェット印刷技術を独自に開発中であるが、量産ラインに適用するのはまだ難しいとの見通しだ。