サムスンディスプレイが量産を確定した次世代量子ドット(QD)ディスプレイの設備投資が、事実上、来年に延期される見通しだという。同社の定期人事や組織改編の遅れが影響しているようだ。韓国電子新聞が報じている。
報道によると、サムスンディスプレイは、当初、第8世代QDディスプレイの生産設備を整えるための正式発注(PO)を今月中旬に行う予定だったが、延期されたという。
最大の理由は、サムスングループの人事や組織改編の遅れによるものと見られている。
通常、正式発注前に購入意向(LOI)を伝達することで機器メーカーが納期に合わせて製品を事前に準備できるようにするという慣行があるという。しかし、今回の投資は、LOIがなく購買担当者が口頭のみで投資意向を伝えてきているとのこと。
電子新聞によると、ある関係者は「正式発注をするという話のみがあり、具体的な日程や規模など、重要な投資内容が確定されていない」とし「年内に投資執行を開始すると予想したが、事実上、来年に延期される雰囲気だ」と述べたという。
また別の関係者は、「前工程において重要な機器である有機物蒸着器のサプライヤー・キャノントッキ(日本)でさえLOIを受けていないという話が聞こえてくる。投資予定が不透明で、投資の動きも保守的なようだ」とし「サムスングループの人事を待つしかない状況だ」と述べたという。
サムスンディスプレイは、これまで第8世代液晶表示装置(LCD)を生産してきたL8ラインの一部を改造し、QDディスプレイの試験生産が可能な月3万枚規模のラインを導入するという。 来年第1四半期までに設備発注を終えラインを構成したとしても、実際の生産は2021年上半期から可能になる見込みだという。