今年中に廃止されると見られていたエコカーへの補助金政策が、当分の間、維持される可能性が高まっている。 中国の電気自動車バッテリー業界が現在経営難に直面している中で、補助金政策を廃止すると競争力を失う可能性があるという懸念によるものと考えられる。
LG化学やSKイノベーションなどの韓国バッテリー企業は、中国の補助金政策の廃止に合わせて、中国国内市場での拡大を狙っていた。 補助金廃止時期が遅れることで、事業展開に支障が出る可能性がある。
15日、外信などによると、苗圩(ミャオ・ウェイ)中国工業情報化部部長は最近、「EV(電気自動車)100」の年次フォーラムにおいて「7月に電気自動車(EV)補助金をカットしないだろう」と述べた。 科学技術関連の全国団体、中国の化学技術協会の万鋼(ワン・ガン)主席も「当局が2020年末までに補助金撤廃を厳格には施行しないだろう」と明らかにした。
中国政府が補助金政策を維持しようとする背景には、中国内の電気自動車バッテリー市場の不振のためとみられる。 バッテリー市場分析会社であるSNEリサーチによると、中国で昨年11月に販売されたグローバル電気自動車(EV、PHEV、HEV)搭載バッテリーの使用量は前年比で33.1%急減した6.3GWhにとどまった。
実際、政府支援をもとに、シェアを伸ばしてきた中国のバッテリー企業の生産中断や破産が続いている。 昨年オプティマムナノエネルギーが生産ラインの稼動を中断した。 同社はCATLとBYDに続き3位のバッテリー企業だった。
業界10位の南京インロンエネルギー(南京維多利新能源開発有限公司)経営難に陥っているといわれる。政府の補助金政策に依存してきた企業が支給規模の縮小で流動性危機に陥り、さらに景気低迷が重なったことが原因とみられる。
当初は、中国政府が、補助金政策により増えすぎた自国のバッテリー企業を整理するため、同政策を廃止するとみられていたが、不景気という変数が加わったことで流れが変わったようだ。
しかし、LG化学やSKイノベーションなど韓国のバッテリー企業にとっては、中国の補助金撤廃は市場シェアを伸ばす好機となるため、それに沿った生産計画を立てていた。 LG化学は、今月初めに中国南京第2工場の本格稼動に乗り出した。 第2工場は約6GWh、既存の南京1工場は7.2GWh規模だ。
SKイノベーションは、中国常州工場に続き中国電池メーカーEVEエネルギーと共に追加生産拠点の設立を進めている。 サムスンSDIも西安にある電気自動車バッテリー工場の生産ラインに5億元(約80億円)を投資し増設作業を完了した。
そのような中での、補助金政策廃止の延期という今回の動きは、韓国バッテリー各社にとっては、生産計画の見通しに少なからぬ影響をもたらすものとみられる。