LG化学が昨年初から推進していたLCD(液晶表示装置)用ガラス基板事業の売却が最終的に失敗した。中央日報が報じている。LG化学とガラス基板事業の買収交渉を続けてきた米国コーニング社の交渉チームも撤収したという。 これにより、LGグループが推進してきた、LCD事業再編によるOLED(有機発光ダイオード)事業への転換という、「LCD出口戦略」に赤信号が灯ったと同紙は分析している。
14日、業界によると、LG化学は、LCD用ガラス基板事業の売却を事実上断念したという。 ガラス基板は、LCDを構成する部品・素材の中で最も大きな割合を占める重要な素材だ。 LGディスプレイのLCDパネルに使われる。
中央日報によると、匿名を求めたLGグループの関係者は、「双方が価格差を縮めることができなかった」と明らかにしたという。LGグループ側からすれば、コーニング社の提示額は安すぎたということになる。
LG化学は、その後、ガラス基板事業の売却を放棄し、京畿道坡州にある工場の土地と建物を売却するが人材は別の場所に再配置するという内部方針を決めたという。 ガラス基板の生産設備は汎用機器ではないことから損失処理するものとみられる。
LG化学のガラス基板事業部は、数年前から赤字に苦しめられた。 中国の物量攻勢でLCDパネルの価格が急落しLCD市場が低迷したためだ。 ガラス基板事業部の損失は、LGディスプレイにまで影響が及ぶ。 LGディスプレイは、全体の売上高のうちLCD部門の売上高が約80%を占める。 LCDの価格が下落し、LGディスプレイは昨年第3四半期までに9375億ウォン(約889億円)の累積損失を記録した。 韓国の証券業界は「昨年の総営業損失は1兆5000億ウォン(約1422億円)に迫るだろう」とみている。
このため、LGは、グループレベルでLCDからOLED(有機EL)への迅速な移行を推進してきた。 いわゆる「LCD出口戦略」である。 LCD用材料事業を売却し、LCD生産ラインも再編または高度化する作業を進めてきた。 LG化学は、ガラス基板事業部と一緒に偏光板事業部も売りに出した。 その代わりOLEDに集中するため、昨年4月、米ダウデュポンから「ソリューションブロック(soluble)プロセス技術」として知られている次世代OLED材料技術を2000億ウォン(約190億円)で買い入れた。 LGディスプレイは昨年10月、LCD生産ラインの人材の一部も配置転換した。 ジョン・ホヨウンLGディスプレイ社長も最近、米国CES 2020において「国内TV用LCDの生産は、今年末に最終的にほとんど整理する方針だ」と述べていた。