LG化学が国内・梧倉(オチャン)にある工場の偏光板生産設備が停止したという。同設備は売却し、一部は中国の同社工場に移すという見方が出ている。韓国各紙が報じた。
韓国イートゥデイ紙は20日、LG化学が梧倉の大型LCD偏光板の生産ラインを今月1日から稼働を停止させたと報じた。同紙によると、業界関係者は、「国内で生産するLG化学の大型LCD偏光板ラインの稼動が止まった。小型のLCD偏光板は生産中だが量が多くない」とし「中国では偏光板の生産を続けている」と述べたという。
ジイレックは27日、LG化学は偏光板事業の売却を進めているという。売却対象は、液晶表示装置(LCD)パネル用偏光板事業である。有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ用偏光板事業は売却対象に含まれなかったとのこと。LG化学は偏光板設備の一部を中国の南京工場に移すとしている。
先日(16日)、中央日報は、LG化学がLCD用ガラス基板事業の売却に失敗したと報じているが、同記事内において偏光板も売りに出していることに触れていた。
(参考記事:「LGのLCD出口戦略に支障、ガラス基盤売却交渉頓挫か?」)
LG化学は2018年、偏光板事業が所属する当時の情報電子素材部門において年間283億ウォン(約26.2億円)の営業損失を記録した。偏光板事業が部門内の売上高の割合のうち75%ほどを占める主力事業であった。
シン・ハクチョル副会長(CEO)は、就任3ヶ月後の昨年4月、組織改編において先端素材事業部を新設し、既存の情報電子素材部門に複数の事業を追加した。組織改編後に遡及適用された先端素材事業部の2018年の営業利益額は713億ウォン(約66億円)だ。情報電子素材部門には材料事業部門とエンジニアリングプラスチック(EP)事業が含まれた。
ジイレックによると、LG系列会社役員は、「シン・ハクチョル副会長がCEOに就任した後、LG化学はお金にならない事業をすべてやめようとしている」とし「LGディスプレイと協力してきたディスプレイ材料・部品も同様だ」とし、「すぐにお金にならなくとも、将来を見据え、共同研究開発分野において、LG化学も他の系列会社の支援を多く受けてきた」とも述べたという。
昨年上半期に中国のディスプレイメーカーが生産量を増やし、LCDパネルの価格が下落、LCDパネルに入る部品である偏光板の価格は上昇した。 LG化学は昨年第1四半期の実績発表において「偏光板の収益性が小幅改善された」と明らかにしていた。しかし、昨年半ば、LCDパネル供給過剰のなか、ディスプレイメーカーが一斉に減産に乗り出したため下半期のLCDパネルの価格下落は止まり、偏光板価格は再び下落した。
偏光板市場は、これまでLG化学、日本の日東電工、住友化学の3社の生産能力が全体の65%を占めていた。 LG化学は大型パネルの偏光板市場において昨年第3四半期累計でシェア27%を記録した。今年は、中国杭州錦江グループ(杭州锦江集团)グループ傘下の企業が投資した現地の偏光板の生産ラインで本格量産が行われると予想されている。
LG化学は昨年第3四半期に、中国広東省広州市のOLED用偏光板新設前工程の生産ラインに749億ウォン(約69.4億円)を投資した。累積投資額は1077億ウォン(約100億円)で、前工程の生産ラインの総投資額は1238億ウォン(約124億円)だ。広州市とは2022年までに3億ドル(約327億円)を投資する協定を締結している。