LGディスプレイが昨年、世界のカーディスプレイ市場で日本企業を抜き初めて首位に立った。
27日、市場調査会社IHSマークィットによると、LGディスプレイは昨年、全世界の自動車ディスプレイ市場においてシェア20%(売上高基準)を記録し1位となった。同期間、日本のJDIはシェア15.4%で2位に留まった。 LGディスプレイが年間売上高でJDIを抜いたのは今回が初めてだ。
LGディスプレイは、特にメルセデス – ベンツとBMWなど高級自動車に搭載する10インチ以上の大型ディスプレイ市場で圧倒的シェアを築いた。同部門のLGディスプレイのシェアは34.4%でありJDI(18%)を大きく上回わる。 JDIは車載用ディスプレイの分野で3年連続世界シェア1位を占めた。
韓国マネートゥデイ紙は、LGディスプレイがJDIを抜いた背景として、差別化された技術力と品質競争力、そしてフッ化水素の「脱日本化」があると指摘する。
昨年7月の日本による輸出管理強化(輸出規制)直後、LGディスプレイはすぐに日本産フッ化水素ではなく、韓国産フッ化水素による代替テストに着手した。以後2ヶ月で量産に成功したといわれる。フッ化水素は、ディスプレイパネルを湿式エッチング(高純度の使用、パネル表面欠陥層除去)や、洗浄(低純度の使用、有機物・酸化物残渣及び各種粉塵粒子除去)する段階で使用される。
このような競争力をもとに、LGディスプレイは今月初め、車載用「P-OLED(プラスチック有機発光ダイオード)」の本格量産に入った。今年第2四半期に発売されるP-OLEDは、OLED特有の優れた画質を有すると同時に、デザインを自由に実装することができ、高級車種に主に使われる。
一方で、日本のディスプレイメーカーはまだP-OLED商用化に乗り出していない。 JDIをはじめと京セラ、パナソニック、三菱、凸版印刷などはまだ研究・開発段階であり、LGディスプレイによるP-OLEDの市場支配力は当分続くというのが同紙の見立てだ。
全世界の車載用OLEDパネル出荷量は、今年の11万台から2026年には460万台と、年平均80%以上急増することと予想されており、うち海外高級車種では、P-OLED使用割合が急増する見通しだ。
韓国電子新聞は20日、LGディスプレイは「P-OLED」の量産を契機に自動車ディスプレイ事業でOLED売上比重を持続的に拡大する計画であると報じた。情報通信技術(ICT)と自動車の融合で急成長している車載用ディスプレイ市場の主導権を狙うという。
ジョン・ホヨンLGディスプレイ社長は今月初め、米国CES2020において、「輸送産業は今後、会社全体の売上高の30%を確保することができる程、成長の可能性が高い分野」と強調した。
(写真:LGディスプレイが米CESで披露したP-OLED基盤の運転席=LGディスプレイ提供)