韓国のパワーロジックス社(Power Logics)が韓国業界では初の円筒形電池ベースの電気自動車用バッテリモジュール・パック自動化ラインを構築した。韓国電子新聞が詳しく報じている。円筒形電池は、米国テスラが電気自動車に採用する電池モデルであり、従来のパウチ(Pouch)型・角型(Can)方式とならび、電気自動車用バッテリーとして主要な製品である。
同社は、最近、忠清北道の梧倉(オチャン)工場に約100億ウォン(約9.3億円)を投入し、年間72MWh規模のバッテリモジュール・パックの自動化ラインを完成。今月から生産に入ると27日明らかにした。
同ラインでは、円筒形電池(規格21700)ベースの中大型電池モジュール・パックと特注バッテリー管理システム(BMS)を生産するという。韓国内でバッテリーパックの自動化ラインを有するのは、LG化学、サムスンSDI、SKイノベーション・現代モービスなどだが、円筒形電池パックの自動化ラインはパワーロジックス社のみだ。
同社は、電気トラック・電気バス・特装車・建設機械など多品種少量生産中心の完成車市場を攻略する戦略だという。これに、電池モジュールを3つのバージョンで主力生産し、直・並列設計を自由にしながら、コスト削減と生産効率を高める方針だという。
自動化設備は、テスラのようなワイヤボンディング(Wire bonding)にしたのが最大の特徴であるという。これは、従来のバッテリーとバッテリーの間の接続を金属配線で接合する形であり、既存の抵抗溶接方法やレーザー溶接よりも時間は少し要するが、大容量の設計に有利であるという。また、金属配線であるため、ワイヤ自体がサージ(瞬間高電圧)などの高電圧発生時に電源を遮断するヒューズの役割をし、火災予防などに有利であるとのこと。また、高電圧で、特定のバッテリ電源が遮断されても、並列構造に設計されているため、全体のバッテリーシステム運用には影響がないという。
同社のバッテリー工程は、セル分類→モジュールを挿入→クリーニング→ワイヤボンディング→レーザ溶接→モジュール単位の性能検査→パック組立→パック単位の性能検査という順で構成されるという。最初のセル分類から最終パックの性能検査(EOL)に至るまで、100%の自動化が完成したとのこと。パックに入るバッテリーセルは、国産品を活用する方針だという。
チャン・ドンピル同社エネルギー事業本部長(専務)は「電動化時代が本格化し、商用車や特殊車、小型電気自動車などの多品種少量生産車を攻略するために、独自のバッテリーパックの自動化ラインを構築することになった」とし「円筒電池に「ワイヤーボンディング」方式を選んだのは、生産均一性と安全性、信頼性のためだ」と述べた。