中国の中部都市武漢で発生した肺炎(新型コロナウイルス感染症)が拡散するなか、中国に現地工場を持つサムスンやLG各社も影響を受けているようだ。
28日、外信や韓国メディアによると、蘇州市は春節連休後も移住労働者の工場復帰を最低一週間は遅らせることを各企業に指示したという。蘇州市は、少なくとも2月8日24時まで、すべての企業の工事及び業務を再開しないように指示したという。
蘇州には、1994年に中国政府がシンガポール政府と合弁で開発した経済特区である蘇州工業園区がある。同地にはサムスン電子の半導体後工程工場、サムスンディスプレイのLCD(液晶表示装置)工場や家電工場がある。
韓国メディア・チョソンビズによると、サムスン電子、サムスンディスプレイの関係者は、「半導体・ディスプレイ工場は連休も正常稼動中であり、内部で運営方案を協議中」とし「ただ、家電工場の場合、春節期間は稼動しないが、政府の方針に基づいて稼働しない期間が長くなるだろう」と説明したという。
同紙によると、現在、中国政府は、春節連休を三日間延長した状態蘇州政府の措置として、現地に勤務する従業員のうち、故郷など外部に出ている従業員が帰り、工場を正常稼動する時期は2月10日になると推定する。
蘇州工業園区には、サムスン電子だけでなく、AppleのiPhoneなどの製品を組立・生産する台湾のフォックスコンや米ジョンソン・エンド・ジョンソンなど、グローバル企業の工場が集結している。これら企業もサムスン電子と同様、工場運営に支障が出るものと推測される。
一方で、中央日報によると、LG電子は28日から社員の中国出張を禁じているという。武漢だけでなく、中国全土への出張を禁止したとのこと。LG電子の(中国本社の役割をする)北京法人等への既存の出張者も急いで帰国させたという。中国南部の広州で工場を運営するLGディスプレイも社員の中国出張を自制することにしたようだ。
SKイノベーションも事実上、中国出張禁止令を下した状態だという。サムスン電子も外交部の旅行警報3段階(撤退勧告)に合わせ、地域への出張を自制するという。サムスン電子は、西安に半導体工場を置いている。
朝鮮日報によると、このような措置を韓国企業がとるのは、2003年中国広東で発症した重症急性呼吸器症候群(SARS)のとき以来、17年ぶりだという。