急成長する電気自動車(EV)のバッテリー市場において、LG化学が収益性確保に苦労しているようだ。受注は増えるが、利益を確保できず、収率も改善せず。韓国メディア・ジイレックによると、LG化学は適時納品をできていないことから、アウディ、ボルボ、ダイムラー、ポルシェなどの取引先にも不満が広がっているという。
業界ではフォルクスワーゲンのMEB(Modular Electric Drive)プラットフォームに供給されるLG化学のバッテリー価格は1キロワット時(kWh)当たり100ドルであると分析する。コバルト、ニッケルなどの原材料価格の影響を勘案しても1kWh当たり120ドルを超えないと見ているという。 1回の充電距離400㎞以上の高性能電気自動車(64kWh)基準でLG化学がフォルクスワーゲンから受けることができる金額は、理論的には、電気自動車1台あたり最大7680ドルとなる。市場調査会社ブルームバーグNEF(BNEF)によると、今年の電気自動車用バッテリーの平均価格は、キロワット時(kWh)当たり135ドルと予想される。つまり、LG化学は平均価格よりも15ドル以上安く供給契約を結んだ形になる。
通常、バッテリーメーカーは2〜3年後の将来は予想して受注価格を定めるという。ジイレックによると、業界関係者は「材料費の削減、歩留まりの向上、工程の高度化などを考慮はしていたが、ポーランド工場の状況が予想よりも悪いため困難な状況だ」と説明したいう。
同紙によると、アウディ、ジャガー、ダイムラーなど自動車会社は、LG化学に発注したバッテリーのうち70%程度の供給を受けたと伝えられた。ポルシェは、高性能電気自動車である「タイカン」のバッテリーとして6000台分を発注したが、現在のところ3000台しか受け取れず、不満が大きいという。
また、外信によると、ブリュッセルにおいてアウディのe-トロン生産量がバッテリーの供給不足により第1四半期4100〜5700台減少するという見通しも出ている。e-トロンのバッテリー供給者はLG化学だ。
2018年11月にLG化学のCEOに任命されたシン・ハクチョル氏は積極的な受注活動を行った。2018年に約100兆ウォン(約9.2兆円)であった同社の電気自動車バッテリー受注残高は、昨年150兆ウォン(約13.8兆円)にまで急増した。しかし、収益性に問題が出た形だ。
(参考記事:「GMがLGとの合弁工場用敷地を購入、オハイオ州約64万㎡」)
一方で、LG化学はポーランド工場における生産量を増やすため、全方位での人材採用を進めている。韓国イートゥデイ紙によると、生産マスター、生産技術、メンテナンスエンジニア、会計の専門家、シニア法律の専門家、生産計画の専門家、外部業務管理者、メンテナンス技術者(メカニック、電気技師)、採用の専門家など10部門におよぶ。
LG化学がは、工場増設に続き、大規模な人員補充によってポーランド法人を強化する構えのようだ。現在同工場にはすでに4000人を超える従業員が勤務している。