新型コロナウイルス感染症が広がるなか、中国の大型ディスプレイメーカーが工場増設工事期間を早めるため、韓国の協力(下請け)会社に中国入国を半ば強要しているという。韓国中央日報が報じた。同工場の建設地は、新型コロナによる感染者が多い場所にあり、韓国企業が不安を訴えているという。
同紙によると、中国の大型ディスプレイメーカーのHKCは春節連休直後の3日から韓国のパートナーエンジニアなどの人材を速やかに中国に送ってほしいと急かしているという。ある会社の関係者は、「HKCが、要求を受け入れない場合のペナルティまで取り上げている」とし「新型コロナ感染を懸念するが、顧客(HKC)の顔色も伺わねばならず、どうすることもできない状況だ」と述べたという。同関係者は「企業別に韓国人スタッフが少なくとも5〜6人、中国人現地スタッフが20名程度ずつ現場に送る必要がある」と吐露したとのこと。
HKCは、LCD(液晶表示装置)TVパネルを主に生産するメーカーであり、世界市場シェアで5〜6位を占める企業だ。昨年末には、中国企業としては初めて320億元(約5000億円)を投じて8.6世代の大型OLED(有機発光ダイオード)の生産ラインを着工した。
HKCは四川省の綿羊にディスプレイの生産ラインを増設している。同プロジェクトに参加する韓国企業は、ハンファ機械・LG PRI・トップエンジニアリング・KCテック・ゼウス・ナレナノテックなど10の大・中小企業である。 中央日報によると、HKCに装置を納入した国内企業のエンジニアは、昨年12月初めから綿羊に派遣され、機器を設置するセットアップ作業を進めてきたという。
しかし、新型コロナが拡散するや、上記協力企業は、ほとんど春節連休(1月24日〜2月2日)間に現場から撤退したという。米国ジョンズ・ホプキンス大が提供する新型コロナ患者の現況によると、四川省は中国の31の省の中で11番目に感染者が多く発生した地域である。
HKC側は搬入された機器のセットアップを早めるため韓国企業側に追加の人員を求め続けているとされる。春節連休期間中も韓国人30~40人が現場に残って働いていたとされる。
HKC側は、3月末にプロトタイプを発売するため、通常5~6ヶ月かかるセットアップ作業を急かしているとの見方も中央日報は伝えている。韓国企業はこのような状況について綿羊市当局と中国ディスプレイ協会などに訴えたというが、現在まで措置がないとのこと。