韓国科学技術院(KAIST)は、カン・ジョング教授の研究チームが急速充電が可能なナトリウムイオンベースのバッテリーを開発したと6日明らかにした。
現在主に使われているリチウムイオンベースのバッテリーは、電圧範囲とエネルギー密度が高いという長所があるが、発火の危険がある上、寿命が短く充放電に時間がかかるという問題がある。
ナトリウムイオンベースのバッテリーは、安全で環境にやさしく、価格も比較的安く、リチウムイオンを代替する次世代エネルギー貯蔵素子として注目されている。
同研究チームは、窒素がドーピング(doping)された多孔性金属酸化物を用い、高エネルギー密度と出力を有するナトリウムイオンのエネルギー保存素子を実装した。
同ナノ構造体は、5〜10ナノメートル(㎚・10億分の1m)の大きさの粒子の間に数多くのメゾ気孔(穴)で構成されており、電解質が細孔を介して電極の奥まで浸透することができるという。
これにより、エネルギー容量を増加させるだけでなく、充放電時間も短縮することができるKAISTは説明した。
同研究チームは、窒素がドーピングされた多孔性金属酸化物を陰極に、窒素がドープされたグラフェン(グラファイトの層で外した2次元カーボンナノ材料)を陽極にそれぞれ適用しナトリウムイオンベースのハイブリッド電池を開発したという。
既存のナトリウムベースバッテリーと同じレベルのストレージ容量を持ちながら、数十秒で急速充電が可能であると同研究チームは説明した。
商用化されると、電気自動車や携帯電子機器などに適用することができるものと期待される。
カン教授は、「ナトリウムベースであるため、安価で利用性に優れ、従来よりも高いエネルギー密度を有するエネルギー貯蔵装置の実用化に寄与するだろう」と述べた。
今回の研究結果は、材料分野の国際学術誌「アドバンスドサイエンス」(Advanced Science)に先月27日掲載されたとのこと。
(写真:ナトリウムイオンベースのハイブリッド電池の構成模式図=KAIST提供)