[特集]サムスン電子の「次期CEO」が描く新スマホ事業

先日行われたサムスン電子の幹部人事において、同社のスマートフォン事業の司令塔として52歳のノ・テムン氏が社長に就任した。(IM部門無線事業部門の部長=社長)

同社では史上最年少での社長就任である。同社長はこれまでも最年少記録を次々と更新し、スピード出世を重ねてきた人物だ。韓国メディアでは「Mr.最年少」というあだ名もあり、サムスン電子の次期CEOの呼び名も高い。

2007年、38歳で常務となり、2010年にはグラフィック性能を改善したソフトウェアと低消費電力技術によりギャラクシーSの開発に寄与した功労で評価を上げる。 2011年に専務に昇進した後も、ギャラクシーノートなど戦略スマートフォンの開発に参加し、2013年には副社長になるなどスピード昇進を重ねてきた。

ノ社長は延世(ヨンセ)大学電子工学部を卒業し浦項(ポハン)工科大学校で電子電気工学修士・博士課程を専攻した生粋のエンジニアである。IM部門においてギャラクシーSシリーズ、ノートシリーズなどの主要なスマートフォンの開発を主導したとされる。

サムスン電子は、ノ氏の就任について、ギャラクシーシリーズの開発を主導し、スマートフォン開発の専門家として、これまで無線事業部開発室長を務めながら、技術的リーダーシップを基に、モバイル事業のグローバル競争力の強化に寄与した主役であると強調。52歳の若いリーダーとしてスマートフォン市場の競争が激化するなか、斬新な戦略を提示し、組織に新たな活力を吹き込む意図で就任させたと発表した。

韓国の毎日経済新聞によると、ノ社長の経営スタイルは、一言で表現すると「実用主義」だという。スマートフォンの機能が平準化され、スペック競争が一層激しくなるなか、その度にノ社長が強調したのが、「技術のための革新を警戒しよう」という内容だという。数字に執着するよりも基本を固め、新機能よりも消費者利便性を強調したとのこと。

サムスン電子の無線事業部開発室は、大きく、開発1室と同2室に区分される。開発1室はソフトウェアを担当、開発2室はハードウェアを担当する。ノ社長は開発2室長出身であり、ハードウェア関連のプロジェクトを複数務めてきたといわれる。そのため、サムスン電子のスマートフォン事業は今後、ハードウェアに力点を置いているといの見方もある。フォルダブルスマートフォンなど新しい形態のハードウェアが姿を見せ始めたこの時期での就任は、そのような見方を支える。

一方で、ノ社長の登板は、同社スマートフォン製造のコストカットのためであるという見方も強い。

韓国エコノミスト誌は、サムスン電子のノ社長抜擢は、彼による外注生産の経験が作用したという評価する。 2018年にサムスン電子が初めて中国メーカー開発生産(ODM)メーカーであるウインテック(Wintech)に、中低価格のスマートフォンであるギャラクシーA6sの生産を委託したが、これを主導したのがノ社長だったという。当時、無線事業部の開発室長(副社長)だった彼は2018年9月に役員を率いウィンテックを直接訪問して契約を決めたという。

サムスン電子は、中低価格の携帯電話最大の市場である中国とインドで苦戦を強いられている。 2013年に20%まで上がった中国のスマートフォン市場でのシェアは中国企業に押され、昨年1%台にまで落ちた。インドでは、シェア首位のシャオミ(26%)との格差がさらに広がった。低価格攻勢に対応しなければ、収益性を回復できない状況だ。

(参考記事:「1位シャオミと2位サムスンの差広がる、インドスマホ市場。3~5位も中国勢」)

中央日報は、同氏が昨年末に役員会議において「現在のスマートフォンのラインナップを管理するには、品質管理のためにもODMを拡大する必要がある」と主張したとされ、「ODM30%」という具体的な数値まで提示したと報じた。サムスン電子が最近3年間で年平均3億台前後を発売したことを考慮すると、ODMを1億台にまで拡大するということになる。

ロイター通信は、ノ社長について「果敢な性格で知られておりHuawei社からの優位性を守るための変化に迅速に対応可能な人物」であるとの識者評価を報じた。

韓国の関連業界では、ノ社長によるODM拡大によって、同社の下請けがダメージを受けるとの声もある。

(参考記事:「サムスンの50代新社長は生粋のエンジニアも、韓国中小企業にはマイナスか?」)

同氏は、明日、2月11日(現地時間)に、米国サンフランシスコで開催されるスマートフォンの新製品公開イベント(GALAXT UNPACKED2020)において、次期フラッグシップ(最上級)スマートフォンモデルである「ギャラクシーS20」シリーズと新規フォルダブルフォンである「ギャラクシーZフリップ」などを公開すると見られている。

サムスン電子のIM部門は、スマートフォン・PC事業を担当する無線事業部と通信機器事業をしているネットワーク事業部で構成される。これまで、コ・ドンジン社長がIM部門の代表と無線事業部長を兼任してきたが、今後はノ社長が先頭に立つ。

ノ社長は10日、同社広報を通じて、「私たちは、今回のGALAXY UNPACKEDにおいて、今後10年の技術革新のための青写真を提示する責任があると思います」と述べた。

(参考記事:「サムスンのスマホ担当幹部が語る抱負」)
 
 

執筆 イ・ダリョン=編集長

 
 

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